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ドンキ“衝撃の1万円台PC”、影の立役者は中国製チップだった製品分解で探るアジアの新トレンド(23)(3/3 ページ)

ドン・キホーテがプライベートブランドのPCとして発売した「MUGA ストイックPC」。本体価格で1万9800円という衝撃の価格を、なぜ実現できたのか。その裏には、実力を伴った中国製チップの存在があった。

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中国製チップが過半数を占める

 図4は、MUGA ストイックPCの全チップの内訳である。全部で17個のチップが使われている。内訳は中国製チップが9個、台湾製チップが5個、米国製が3個である。中国製が過半数だ。台湾まで合わせると8割が中台チップということになる。また、9個の中国チップのうち、6つはアナログチップが占めている。残り3つのうち、2つもミックスドシグナルのチップだ。


図4:MUGA ストイックPCに搭載されているチップの内訳 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 中国は、デジタル分野ではARMコアを用いるなどして、率先して新チップを作り上げ、スマートフォンやタブレットなどの新分野で広く採用を進めてきた。しかし同様にアナログやアナログとデジタルを混在させたミックスドシグナルの分野でも続々と製品を開発し、さまざまな分野で採用を増やしている。中国=デジタルという短絡的な捉え方は、決して正しくないだろう。中国のアナログチップは進化し続けており、広く採用の裾野が広がり始めているのだ。

 MUGA ストイックPCでは中国製チップを多用し、1万9800円という破壊的な価格を実現した。多くは中国のアナログ&ミックスドチップで構成されている。しかし、これが本製品のマイナスポイントではない! と結んでおきたい。

 12月1日開店前からドン・キホーテに並んだ人たちは本製品を目当てに、小雨の中、早朝からワクワクしながら過ごしただろう。3万円台ともなればさらに優れたPCはいくらでも手に入る。しかしMUGA ストイックPCで満足な人もいる。

 ダイバーシティーが叫ばれる昨今、こうした製品を否定するのではなく、この製品のようなものをちゃんと受け入れ、直視することもあらためて重要だと考える。

執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年に渡る半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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