自動運転ベンチャーが独自のCNN IPコアを開発した理由:GPU一強の時代は終わりつつある(3/3 ページ)
菱洋エレクトロと自動運転ベンチャーの「AImotive(エーアイモーティブ)」は、AImotiveが開発した独自IP(Intellectual Property)による畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)アクセラレーター「aiWare」と、同社の自動運転ソフトウェア「aiDrive」を搭載したデモ車両を日本で初披露した。
NVIDIAの一強状態が崩れる可能性も
発表では、CNNに関する標準フォーマット「Neural Network Exchange Format(NNEF)」にaiWareが準拠することを紹介。NNEFは、グラフィックスAPI(Application Programming Interface)などの業界標準策定団体であるKhronos Group(クロノス・グループ)が推進する、CNNフレームワークと推論を実行するエッジ側アクセラレーターの架け橋となるもの。現在、組み込みCNNは各フレームワークとアクセラレーターで互換性がない状態となっており、フレームワークとアクセラレーターのベンダーがNNEFに準拠することで、ユーザーは1つのフレームワークで学習と推論を異なるアーキテクチャのアクセラレーターで動作させることができるという。
AImotive Head of Japan OfficeのAxel Bialke氏は、「今まで、CNNといえばNVIDIAというような状況だったが、NNEFによってさまざまなプレイヤーが出てくる」と語り、さらに個人的な意見と前置きした上で、「これによって、今後NVIDIAの一強状態が崩れる可能性がある」との予想を述べた。AImotiveの売上高は、現在12億円程度であるとして、4年後には200億円を目指すという。また、aiWareは売上高の約3割を担う事業になることを期待しているとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自動運転実現の鍵を握る、注目すべき新興企業9社
自動運転車の開発は、自動車メーカーや半導体メーカー、ソフトウェアメーカーなどが連携して取り組むことが、もはや常識になっている。とりわけ際立っているのが新興企業の存在だ。彼らに共通するのは、自動運転に必要な、極めて高度な知識と技術を有しているということである。 - デンソー、自動運転の判断を担う新プロセッサ開発へ
デンソーは2017年8月8日、自動運転システムに向けた新しいプロセッサを開発する子会社を設立すると発表した。CPUやGPUといったプロセッサとは異なる新しいプロセッサを開発し、半導体IPとして広くライセンス販売する計画。 - デンソーの新子会社とプロセッサを開発するThinCIとは
デンソーが新設する子会社「エヌエスアイテクス(NSITEXE)」とプロセッサを共同開発するのが、米新興企業のThinCIだ。同社のCEO(最高経営責任者)を務めるDinakar Munagala氏に、同社の製品の強みなどを聞いた。 - GoogleからAI用プロセッサ「TPU」が登場
Googleが、人工知能(AI)に向けたアクセラレータチップ「Tensor Processing Unit(TPU)」を独自開発したことを明らかにした。同社が2015年にリリースした、オープンソースのアルゴリズム「TensorFlow」に対応するという。 - トヨタがNVIDIAのAI技術を採用、Intelに焦りか
2017年5月10日、トヨタ自動車がNVIDIAのAI(人工知能)プラットフォームを採用する計画を明かした。自動車用AIプラットフォームを巡っては、Mobileye買収をするIntelと、NVIDIAが激しく競り合う。トヨタの採用でNVIDIAの優勢が明白になったが、勝敗の決着はまだ先のようだ。【訂正】 - AIへの熱視線続く、推論エンジンの需要が高まる見込み
AI(人工知能)に対する注目度の高さは、2017年も続くようだ。2017年は、ディープニューラルネットワークの実現に向けて、より高性能な推論エンジンの需要が高まると専門家は指摘している。