STとMACOMがRF向けGaN-on-Siでの連携を発表:STが製造し供給へ
STMicroelectronicsとMACOM Technology Solutions Holdingsは2018年2月、シリコンウエハー上に窒化ガリウムを形成する「GaN-on-Si」を共同開発することで合意したと発表した。
2018年中にサンプル生産開始へ
STMicroelectronics(以下、ST)とMACOM Technology Solutions Holdings(以下、MACOM)は2018年2月、シリコンウエハー上に窒化ガリウムを形成する「GaN-on-Si」を共同開発することで合意したと発表した。合意に基づき、STはMACOMの技術ライセンスを受けて、STがGaN-on-Siを使用したRFパワー製品を製造し、MACOMに供給する。また合意には、携帯電話機、無線基地局および関連する商用通信インフラ以外のRF市場向けについてはSTが独自のGaN-on-Si製品を製造、販売する権利も含まれるという。
MACOMは、「それほど大規模ではない化合物半導体工場」(MACOM CEOのJohn Croteau氏)を使用して、GaN-on-Si技術の改良を進めてきた。同時にMACOMとSTはこれまで数年間にわたり、STのCMOSウエハー工場で、GaN-on-Siを生産するために協力してきたとし、2018年中にはSTの工場でサンプル生産を開始する。
今回の合意により、MACOMは、GaN-on-SiによるRFデバイスの製造能力が強化される他、製造コストの低減が見込めるとし、現行のシリコンLDMOSによるRFデバイスからGaN-on-SiによるRFデバイスへの代替加速を図る方針。
一方のSTは、GaN-on-Siの新たな応用市場の開拓を図る方針。同社オートモーティブ&ディスクリート・グループ社長であるMarco Monti氏は「GaN-on-Siを使った新しいRFエネルギーアプリケーションにも大いに期待している。特に車載では、プラズマ点火などの用途が考えられている。これにより、従来エンジンより燃焼効率を高めることができる。またRF照明向けでは、より高効率かつ長期間の使用に耐えうるシステムが考えられている」とコメントしている。
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