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Uber車の死亡事故、センサーは機能していたのか?深まる疑問(2/2 ページ)

Uberの自動運転車が起こした、歩行者の死亡事故。地元警察が公開した映像を見ると、高性能なはずのセンサー類が、歩行者をどの程度検知できていたのか、大いなる疑問が残る。

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「弁解の余地はない」

 さらにDemler氏は「この車には、検知範囲が最大250mのBosch製の長距離レーダー(LRR)も搭載されていた」と付け加えた。「Uberが自動運転車と利用しているVolvo車には、64個のセンサーを内蔵したVelodyne製の全方位LiDARも搭載されていた。その検知範囲は120mである」(同氏)

 それらの全てのセンサーのうち、“最も弱いセンサー”について問うと、Demler氏は「夜間に使用するとなると、明らかにカメラは劣る」と述べている。「レーダーは最適な長距離検知を実現し、夜間の使用にも耐えうる。LiDARの検知範囲はレーダーのそれに近いが、レーダーよりも高い空間分解能を持つ」(同氏)。実際、Volvo車には全方位レーダーとLiDARが搭載されており、視野を遮るような妨害物もなかったとみられる。

 以上の点から、Demler氏は「センサーシステムが道路を横断する女性を検知できなかったことに、弁解の余地はない」と結論づけている。

 今回の自動車に搭載されているようなビジョンシステムでは、夜間の検知では最低限のレベルしか実現できないかもしれないが、HDR(ハイダイナミックレンジ)の視覚センサー(あるいはサーマルカメラの方がよいかもしれない)が役立つ可能性があるとMagney氏は述べる。「理想論ではあるが、前方のコーナーを監視するカメラにサーマルカメラを使えば、今回のように歩行者が暗闇で黒っぽい服装をしている場合の事故を減らせるかもしれない」(同氏)。また、ミリ波レーダーなら確実に歩行者を検知できたという。

ソフトウェアに不具合はあったのか?

 ただ、今回の事故で最も不可解なのは、ハードウェアの不具合の可能性に加えて、ソフトウェアにも不具合があり、それが、自動運転車の高性能なハードウェアが適切に機能するのを妨げた可能性がある点だ。

 Magney氏は、各センサーデバイスの性能だけが問題ではないと指摘した。もちろん、センサーが検知に失敗したことが、必ずしもシステムの不具合を示唆するわけではない。「センサーがどのようにプログラミングされているかが重要だ」(同氏)

 Demler氏は、UberがレーダーやLiDARのデータを公開することで、これらの疑問に対する答えが出るのではないかとみている。「もちろん、警察が事故時の車載カメラの映像を公開したのは賢明だが、搭載されていたセンサーシステムのデータは、もっと多くの情報を示唆するであろう」(同氏)

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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