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執念のはんだ付け技術で優勝! 3年ぶりの日本大会でIPC はんだ付けコンテスト(2/2 ページ)

「JPCA Show 2018」(2018年6月6〜8日、東京ビッグサイト)で、3年ぶりに「IPC はんだ付けコンテスト日本大会」が開催された。出場した40人の熟練技術者のうち、見事優勝を手にしたのは……?

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今回の優勝者は?

 JPCA Show 2018の最終日である6月8日には、審査結果が発表され、受賞式が行われた。

 見事に優勝を飾ったのは、プリント配線板の設計や製造、販売を手掛けるピーダブルビー システム製造技術部 システム製造技術グループの松並亮輔氏。今回のコンテストで課題を完了したのは唯一、松並氏だけだった(そのくらい、難しいということだ)。

 松並氏は、はんだ付けコンテストに初めて参加したという。入社して10年にわたり、はんだ付けに携わってきた松並氏だが、今回の課題基板を見た瞬間、「これを45分間で終わらせるなど、絶対に無理」だと感じたという。ただし、そこは10年の経験を持つベテラン技術者。すぐに頭を切り替え、どんな順番で部品をはんだ付けしていけば最も効率的に作業できるのかを考えることに集中した。「絶対に完成させたる! という意気込みで挑んだ」(松並氏)


日本大会で優勝した、ピーダブルビーの松並亮輔氏。受賞後のインタビューで、「ほとんど執念で完成させた」と語ってくれた。ちなみに、コンテスト中はかなり緊張したようで、手がぶるぶる震えていたそうだ。完成して、LEDが光ったときには思わずガッツポーズが出たという

 他の出場者の様子も見学していた松並氏は、「QFPのはんだ付けに苦労されている方が多いのではないか」との印象を受けたという。松並氏は、業務を通してQFPのはんだ付け(取り外して、再実装もしている)に慣れているので、その点は有利だったかもしれないと語る。

 一方で、松並氏がちょっと苦労したのが、いつもと違うはんだごてやピンセットを使ったことだという。はんだ付け技術者には、こてからピンセット、ニッパーまで、道具へのこだわりがある。「持った感じや、こての傾き具合などの感覚がいつもと違うので、ちょっと苦労した」(松並氏)

 はんだ付けの自動化は進んでいるが、松並氏は「それでも、技術者が手付けする必要があるケースも、まだまだある」と話す。「人の手じゃないと高品質にはんだ付けできない箇所は、ある。装置を使ってはんだ付けしたものでも、『仕上がりが心配だから、確認してほしい』という依頼もある。実際に“あやしい”ものもあり、それは見れば分かるので、より信頼性を高めるために手で付け直す」(同氏)

 今回のコンテストで、富士通ゼネラルエレクトロニクスの菅原加奈子氏が2位を、三菱電機鎌倉製作所の関根正美氏が3位を受賞した。両氏とも、松並氏と同様、コンテストには初参加。菅原氏も関根氏も「とにかく時間が足りなかった」と語る。ただ、普段は、他の企業のはんだ付け技術者のスキルを見られる機会は全くないので、出場したことはとても勉強になったと声をそろえる。コンテストは、はんだ付け技術者にとって、モチベーションを向上するよい機会にもなるようだ。


受賞式の様子。左から、IPCプレジデントのJohn W. Mitchell氏、菅原加奈子氏、松並氏、関根正美氏、IPCバイスプレジデントのDavid Bergman氏

 松並氏は、2019年に米国カリフォルニア州サンディエゴで開催される世界大会に、日本代表として出場する。「前回(2015年)の日本大会で優勝した方は、世界大会では準優勝。せっかくここまで来たので、ぜひ優勝したい」と、その意欲を語ってくれた。地区大会を勝ち抜いた強豪が集まる世界大会。松並氏の朗報を待ちたい。

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