ローム、低ノイズのCMOSオペアンプを開発:センサー信号の検出性能を向上
ロームは2018年7月、業界最高レベルの低ノイズを実現したCMOSオペアンプ「LMR1802G-LB」を開発したと発表した。光センサーやソナー、加速度センサーなどの微小な信号増幅用途に向ける
低ノイズ性能と安定性を両立
ロームは2018年7月、業界最高レベルの低ノイズを実現したCMOSオペアンプ「LMR1802G-LB」を開発したと発表した。光センサーやソナー、加速度センサーなどの微小な信号増幅用途に向ける。
新製品は、独自のアナログ設計技術やプロセス技術、レイアウト技術を融合させてて開発した。ノイズ性能(入力換算雑音電圧密度)は、1kHz時で2.9nV/√Hz、10Hz時で7.8nV/√Hzを達成している。これは従来製品に比べて約2分の1という低ノイズ特性である。
低ノイズ性能と同時に高い安定性も実現した。オペアンプの差動入力段に新開発の回路を導入した。これにより、位相余裕は68度、容量性負荷の駆動は500pFを実現している。こうした工夫によって、センサー信号の検出性能を、従来製品に比べて2倍に高めた。数μVの入力電圧も正確に増幅できるという。
さらに、誤差となる入力オフセット電圧と入力バイアス電流を極小化した。新製品の入力オフセット電圧は450μV、入力バイアス電流は0.5pAとなった。それぞれ従来品に比べて4分の1と2分の1である。
電源電圧範囲は2.5〜5.5V、動作温度範囲は−40〜125℃である。パッケージは外形寸法が2.9×2.8×1.25mmのSSOP5で供給する。新製品は既にサンプル出荷を始めており、サンプル価格(税別)は500円。量産出荷は2018年10月より行う予定だ。なお、チップワンストップやザイコストア(コアスタッフ)、アールエスコンポーネンツのWebサイトから購入することも可能である。
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