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可視光フィルター要らず、UV検知フォトダイオード:スマホなど薄型機器へ搭載も
エイブリックは、「UV-A」から「UV-B」の紫外線波長を検出できるシリコンフォトダイオードを発売する。新製品は東北大学と共同開発した。
フィルターなしで可視光領域をカット、薄型化を可能に
東北大学とエイブリックは2018年7月、「UV-A」(波長315n〜400nm)から「UV-B」(波長280n〜315nm)の紫外線波長を検出できるシリコンフォトダイオードの量産化技術を共同開発したと発表した。この技術を基にエイブリックが新製品「S-5420」を開発し、販売を始めた。
東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻の須川成利教授と黒田理人准教授の研究グループはこれまで、波長帯域190n〜1100nmで高い感度と耐光性を持つシリコンフォトダイオードなどを開発してきた。
新製品はこれらの技術をベースに共同開発した。高感度のフォトダイオードと低感度のフォトダイオードで構成される新製品は、それぞれのフォトダイオードで検出した信号の差分を取ることで、紫外光成分を選択的に検知することができるという。可視光領域をカットする専用のフィルターが不要となるため、応用機器の薄型化が可能となり光の減衰も防ぐことができる。
S-5420は、シミやしわの原因となる「UV-A」から、日焼けの原因となる「UV-B」まで計測することができる。パッケージは透明樹脂を用いた表面実装タイプで、外形寸法が最大2.55×1.56×0.65mmのSON-6Cで供給する。
エイブリックは、スマートフォンやウェアラブル機器での紫外光計測に加え、UV硬化装置やUV硬化インクを用いた印刷機など、紫外線を照射する産業機器などの用途にも新製品を提案する。
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