1μWでも昇圧できる、AKMの環境発電用DC-DCコン:微生物発電の実現にも貢献
旭化成エレクトロニクス(AKM)は2018年7月、環境発電(エネルギーハーベスティング)向けの昇圧DC-DCコンバーター「AP4470」を開発したと発表した。同製品は、超低消費電流動作が特長で、わずか1μWの電力でも昇圧を行うことができるとする。
旭化成エレクトロニクス(AKM)は2018年7月、環境発電(エネルギーハーベスティング)向けの昇圧DC-DCコンバーター「AP4470」を開発したと発表した。同製品は、超低消費電流動作が特長で、わずか1μWの電力でも昇圧を行うことができるとする。
0.2Vの入力電圧から自己起動、昇圧動作を開始
振動や熱など、普段意識されていない微弱なエネルギーを電力に変換する技術として環境発電に注目が集まっている。しかし、その発電量は極めて小さいため、既存の電源回路では自己消費電力が大きく、システム電源として効率的にエネルギーを回収できないという課題があった。
AP4470は入力部に電圧変換トランスが無い場合でも、0.2Vの入力電圧から自己起動、昇圧動作を開始。従来必要だった環境発電素子の直列、大面積化を行うことなく、センサーや無線モジュールなど各種システムデバイスを駆動できる。
また、システム給電用と蓄電用大容量コンデンサーの充放電経路制御スイッチを内蔵する。同機能は昇圧した電力を蓄電する素子を監視し、3.3Vに到達すると電力を外部回路に供給開始、3.55Vを上限として出力電圧を制御する。外部回路への電力供給開始後、2.6Vまで出力電圧が低下すると供給を停止する。
昇圧回路の動作を外部に通知する機能、監視する蓄電素子の電源動作を通知する機能としてオープンドレイン出力を備え、外部回路のリセット解除やシステムトリガースイッチとして応用できるとする。
同製品の主な仕様は、起動開始電圧が0.2V、消費電流は昇圧時が7μA(入力電圧0.4V時)、昇圧停止時が0.5μA(入力電圧0.4V時、過充電保護回路0.36μA含む)、動作温度は−30〜+85℃。2018年10月よりサンプル出荷を予定する。
同製品はベンチャー企業であるsensingnetが開発する「Regenerative Sensing System」のプロトタイプに採用された。また、農業・食品産業技術総合研究機構と共同で、同製品と微生物電池によるセンサーの駆動性能を評価中と発表している。
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