2023年に自動運転技術を確立する、SIP第2期が始動:羽田や臨海副都心での実証も予定
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年8月3日、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期の1課題である「自動運転(システムとサービスの実用化)」について研究開発計画の説明会を開催した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年8月3日、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期の1課題である「自動運転(システムとサービスの実用化)」について研究開発計画の説明会を開催した。
同プログラムでは、自家用車の高速道路完全自動運転(SAEレベル4)の実現など、自動運転実用化に必要な技術を2023年までに確立することを目指し、実証実験や技術開発を行うとしている。
SIP第1期の取り組み状況
SIPは、内閣府に設置された「総合科学技術・イノベーション会議」が主管する研究開発プログラムで、日本の経済や産業競争力にとって重要な課題に対して、省庁横断・産官学連携で基礎研究から実用化、事業化に取り組む枠組み。2014年度から2018年度までのSIP第1期では11課題、2018年度から2022年までの第2期では12課題が研究開発の対象となる。
SIP第1期では、自動運転に関する取り組みとして「自動走行システム」を課題テーマに掲げ、自動運転に必要な地図インフラの整備、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)の開発、情報セキュリティの検討などを行ってきた。特に、地図インフラの整備については「ダイナミックマップ基盤株式会社(DMP)」の設立など、事業化に貢献したとする。
第2期では実証実験をより重視、シミュレーションの開発も
SIP第2期では、自動運転の本格的な実用化に向けて、実証実験と基盤技術開発の取り組みを加速させる。
実証実験は、都市交通と地域交通の2つの観点で実施。都市交通の観点では、2019年10月頃より臨海副都心や羽田地区の一般道と首都高を用いて、レベル2〜4の自動運転に必要と考えられる信号情報提供や高速道本線合流支援などの要素機能、自動運転バスといったアプリケーションの実証を行う。地域交通の面では、事業者や地方自治体との協働による長期実証を行い、物流や移動サービスの事業性検討を行う。
基板技術の開発は実証実験と並行して、「仮想空間での安全性評価環境の構築」「効率的なデータ収集・分析・配信技術の開発」「ソフトウェア更新等に対応したセキュリティ技術の開発」「自動運転の高度化に即したHMIの要件化」の4つのテーマを軸に実施される。
特に「仮想空間での安全性評価環境の構築」では、自動運転の開発で課題となる多様な交通環境における安全の検証をシミュレーションによって実施できるよう、ツールの開発を産学連携により行うとする。実世界の実証走行により得られた100億kmのデータを活用し、シミュレーター上でさまざまな交通環境や天候などの諸条件を組み合わせ、自動運転システムの安全性を自動評価することを目指す。
SIP自動運転を総括する内閣府プログラムディレクターの葛巻清吾氏は「自動運転は、いかにしっかりとしたサイバー空間を構築できるかにかかってる。現在のインフラから取得できるデータに加え、V2X(Vehicle to Everything)を活用して取得したデータをどのように融合してより良いデータ群にするか。このことが(SIP自動運転における)1つの大きなテーマとなる」との認識を示した。
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