連載
光ファイバーとシリコン光導波路を結合する技術:福田昭のデバイス通信(157) imecが語る最新のシリコンフォトニクス技術(17)(2/2 ページ)
今回は、光ファイバーとシリコン光導波路を結合する技術を解説する。
回折格子型結合器とエッジ型結合器の試作例
次に、回折格子型光ファイバー結合器の試作例を見ていこう。回折格子には、1次元と2次元の2種類がある。1次元の回折格子による結合器は結合効率が高く、最小挿入損失は2dBと低い。ただし偏光依存性が大きい。
2次元の回折格子による結合器は結合効率がやや低く、最小挿入損失は3dB〜4dBと増大する。挿入損失は大きくなるものの、1次元の回折格子に比べると偏光依存性は弱まる。なお挿入損失が1dB増加する帯域で規定した波長帯域幅は、20nm〜40nmである。
回折格子型光ファイバー結合器の試作例。左上は顕微鏡の観察画像。右上は結合効率(挿入損失)の波長特性。右下はいくつかの研究機関による試作結果のプロット(縦軸が最小挿入損失、横軸が1dB帯域)。出典:imec(クリックで拡大)
続いて、エッジ型光ファイバー結合器の試作例である。2dB以下の低い挿入損失を、100nmを超える広い波長帯域で得ている。ただし実験では、光ビームの直径(MFD:Mode Field Diameter)を3μmと短くした特殊な光ファイバーを使用していることに注意されたい。光ビームの直径が約10μmの標準的なシングルモードファイバーを使うと、挿入損失はもっと高くなると推測する。
(次回に続く)
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