AIと機械学習、多くの企業でストレージ支出が増加へ:IDC Japanがユーザー調査
IDC Japanは、人工知能(AI)と機械学習(ML)がストレージ支出に与える影響をユーザー調査した。この結果、国内企業611社のうち、70%が「大きな影響を与える」と認識していることが分かった。
自社ITインフラの運用管理にも活用
調査会社のIDC Japanは2018年9月、AI(人工知能)とML(機械学習)がストレージ支出に与える影響をユーザー調査した。この結果、調査した国内企業611社のうち、70%が「大きな影響を与える」と認識していることが分かった。
ユーザー調査では611社のうち、AI/MLを「本番導入済み」「開発/試験中」「1〜2年以内に導入を計画」「時期は未定だが導入を検討中」と回答した企業は73.3%(448社)に達した。この448社に、「2018〜2020年の期間でAI/MLがストレージ支出に与える影響度合い」を聞いた。そうしたところ、25.4%の企業が「非常に大きな影響を与える」、44.6%の企業が「大きな影響を与える」と回答した。この2つを合わせると70.0%に達する。
この448社に対し、AI/MLを導入したことによるストレージ支出の変化として、想定している課題を聞いた。回答率が50.3%と過半数に達したのが「AI/MLデータの増大への対応が求められる」ことである。その次に46.2%を占めたのは「AI/MLのストレージ予算の増加」、そして39.8%の回答率となったのが「AI/MLデータの統括的な管理が求められる」である。
技術的な課題としては、「オブジェクトストレージの導入の増加」(33.8%)、「Software-Defined Storageの導入の増加」(31.2%)、「オールフラッシュアレイの導入の増加」(26.1%)などが上位を占めた。「NVMe(Non-Volatile Memory Express)やNVMe over Fabricsの利用の増加」といったフラッシュメモリの接続環境(22.6%)なども挙がったという。
今回のユーザー調査から、自社ITインフラの運用管理に、AI/MLを利用する意向が高いことも分かった。回答を得た454社のうち、既に「利用している」と答えた企業は8.2%だったが、「1〜2年以内に利用を計画している」企業は44.8%、「時期は未定だが利用を計画している」のは21.3%となった。これらの合計は74.3%に達した。
自社ITインフラ管理にAI/MLを利用する理由として、「保守サポートコストの抑制」(49.3%)、「ビジネス要求への迅速な対応」(43.0%)、「人員コストの抑制」(40.7%)などを挙げた。
今回発表した調査データは、IDCが発行する調査レポート「2018年イノベーションアクセラレーターが国内ストレージ支出に与える影響」で、詳細に紹介している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AR/VRヘッドセット市場、2021年まで50%超の成長予測
IDC Japanは、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)ヘッドセットの国内および世界出荷台数と今後の市場予測を発表した。2017年の世界出荷台数は前年比減となったが、2018年は再度成長に転じる見通し。2017年〜2021年の年間平均成長率(CAGR)は52.5%を見込む。 - AIの開発、半導体業界にとってますます重要に
どの半導体メーカーが、何らかの形でAI(人工知能)分野に携わっているのかは、簡単にリストアップすることができる。ほぼ全てのメーカーが該当するからだ。機械学習(マシンラーニング)は、幅広い可能性を秘めているため、ほとんどの半導体チップメーカーが研究に取り組んでいる状況にある。 - Intel、“組み込みAIチップ”のPC搭載を狙う
Intelは、CPUの他に、Movidiusが手掛けてきたVPU(Vision Processing Unit)のような推論チップを、PCに搭載することを目指しているようだ。 - ルネサス MCU/MPUのAI処理性能を今後3年で1000倍に
ルネサス エレクトロニクスはMPU/MCU製品のAI(人工知能)処理性能を今後3年ほどで1000倍に高めるとの方針を明らかにした。 - エッジでAIの学習も、アナログ素子で脳型回路を開発
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)らは、アナログ抵抗変化素子(RAND)を用いた、AI(人工知能)半導体向け脳型情報処理回路を開発した。エッジ側で学習と推論処理が可能となる。 - Armの独壇場にはならない? AI向けコア市場
CPUコアにおいて、多くの分野で高いシェアを誇るArmだが、AI(人工知能)エンジン向けチップのコアでは、独壇場とはいかないようだ。