停電時でも医療機器を消毒できる、TDKのプラズマ発生素子:electronica 2018(2/2 ページ)
TDKはドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2018」(2018年11月13〜16日)で、開発中の技術を含め、車載向けや産業向けの製品を展示した。
小型の低温プラズマ発生素子
低温プラズマを発生する素子「CeraPlas(セラプラス) HF」を使った製品も展示した。CeraPlas HFはelectronica期間中の11月13日に発表されたもので、大気圧下でさまざまなガスをイオン化できる。47.3×20×20mmと小型で消費電力も低いので、電池駆動のプラズマ処理器などの開発に適しているとする。樹脂の表面改質や、器具や食品の殺菌、脱臭など多くの用途がある。「地震などの災害が起こった時に、停電により医療機器の消毒ができないという課題がある。CeraPlas HFによってこうした課題を解決できる可能性がある」(TDK)
センシングとアクチュエーターを同じ素子に
触覚フィードバック機能とセンサー機能を統合したアクチュエーター「PowerHap」のシリーズも展示した。0〜120Vの電圧の波形を印加することで振動する。波形の周波数を変えることで振動パターンを変えることができる。加速度は2.5〜35g。「自動車のパネルなどでは、どこを触ったのかが分かるようにしたいという要望がある。PowerHapは、同じ素子でセンサーとアクチュエーターの両方の機能を果たすので、部品点数が少なくて済むという利点がある」(TDK)
オールセラミックの全固体電池
この他、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、千葉市・幕張メッセ)でも展示した、全固体電池「CeraCharge」も紹介した(関連記事:全固体電池を用いた環境発電を提案 TDK)。CeraChargeは、チップ形状をしたオールセラミックの全固体電池。焼成済みなので、爆発や液体の漏れがなく安全性が高い。2019年度第1四半期に量産を開始する製品だ。electronicaでは、小型のソーラーパネルとCeraChargeを搭載した電卓を使い、環境発電で駆動させるデモを紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- TDKがICsenseを買収、センサーに不可欠なASICが狙い
TDKは、同社の子会社であるTDK-Micronasを通じて、自動車や産業などの分野向けにASICを開発するベルギーICsenseを買収すると発表した。 - 「半導体メーカーとの連携不可欠」――TDK
TDKは、Qualcommとの合弁会社「RF360 Holdings Singapore(以下、RF360 Holdings)」を設立した背景について説明会を開催。同社社長の上釜健宏氏は、「半導体メーカーとの連携が不可欠」と語った。ただ、やはり合弁会社設立に対する疑問の声や懸念事項もあるようだ。 - TDKとQualcommが合弁会社の設立を完了
QualcommとTDKは、2016年1月に発表した合弁会社「RF360 Holdings Singapore」の設立を完了した。IoT(モノのインターネット)や自動車などの分野に、高周波フロントエンドモジュールやRFフィルターを提供する。 - TDK、米超音波センサーメーカーChirpを買収
TDKは2018年2月28日、米国の超音波センサーメーカーであるChirp Microsystemsを買収すると発表した。 - NIMS、単結晶ダイヤモンドMEMSチップを開発
物質・材料研究機構(NIMS)は、室温における品質因子(Q値)が100万以上と極めて高い「ダイヤモンドカンチレバー」を開発した。カンチレバー上に振動をセンシングする電子回路などを集積した単結晶ダイヤモンドMEMSセンサーチップの開発にも成功した。 - 長期間、皮膚に貼り付けて心電計測が可能に
理化学研究所(理研)は、極めて薄い有機太陽電池で駆動する「皮膚貼り付け型の心電計測デバイス」を開発した。