ニュース
5Gの屋外実験で27Gbpsの大容量通信に成功:三菱電機とNTTドコモが実施
三菱電機とNTTドコモは、5G(第5世代移動通信)の屋外実験を行い、通信距離10mで27Gビット/秒、同100mで25Gビット/秒の大容量通信に成功した。
16ビーム空間多重を実現するアンテナシステムを採用
三菱電機とNTTドコモは2018年11月、5G(第5世代移動通信)の屋外実験を行い、通信距離10mで通信速度27Gビット/秒に成功したと発表した。通信距離が100mでは25Gビット/秒を達成した。今回の実験は、2018年9月に神奈川県鎌倉市で行った。
三菱電機とNTTドコモは共同で、帯域幅500MHzを用いて通信速度20Gビット/秒を達成するため、16ビーム空間多重を実現する超多素子アンテナシステムを開発し、実験を行ってきた。開発したビーム成形技術は、アナログ回路によりあらかじめ設定したビームを切り替えて、端末の移動に追随することができるという。また、変化する伝播環境を基地局側で測定し、信号を制御することで、ビーム間の干渉を低減させた。これらの技術により、16ビーム空間多重を実現している。
今回の実験では、開発した基地局を建物壁面に設置し、自動車に端末を搭載した。基地局から10mおよび、100m離れた道路を移動する端末に対して、見通し条件で16ビーム空間多重伝送を行う28GHz帯屋外実験を行った。この結果、通信距離10mで27Gビット/秒、100mで25Gビット/秒という大容量通信に成功した。この値は1Hz当たり67ビット/秒で、世界最高レベルの周波数利用効率に相当するという。
両社は、壁面などによる多重反射を想定した28GHz帯屋内実験を、2018年度内にも実施する予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 5G NRの標準化が完了
NTTドコモや三菱電機、パナソニックなどを含む51社は2018年6月14日、3GPP Plenary会合において、5G(第5世代移動通信)の無線方式である「5G NR(New Radio)」の標準仕様の策定が、「3GPP Release 15」として完了したと発表した。 - 三菱電機、AI技術で機器やエッジをスマート化
三菱電機は、研究開発成果を披露した。同社は成長戦略の実現と未来社会への貢献に向けて、研究開発に力を入れる。特に、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)は注力する研究テーマの1つである。 - 三菱電機、低消費電力や低コストをAI技術で実現
「IoT」や「AI」「5G」。今後の事業戦略に欠かせないキーワードである。三菱電機はこれらの領域にフォーカスした研究開発を強化する。 - 8波長多重やPAM4方式で、伝送速度400Gbpsを実現
三菱電機は、大容量高速光ファイバー通信機器向けに、伝送速度400Gビット/秒を実現した小型送信モジュールを開発した。 - 5G実験、空間電波伝搬特性を8ch同時計測
キーサイト・テクノロジーは、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2018」(2018年5月23〜25日、東京ビッグサイト)で、28GHz帯チャンネルサウンディングソリューションなどを展示した。 - 時速300kmで5Gデータ伝送・ハンドオーバーに成功
NTTドコモなどは2018年4月23日、時速約300kmで移動する移動局と基地局間で28GHz帯を用いた5G(第5世代移動通信方式)の無線データ伝送や基地局間ハンドオーバーなどに世界で初めて成功した(同社調べ)と発表した。