HDD大手Seagateの四半期業績は前年比で増収増益:福田昭のストレージ通信(126)(2/2 ページ)
今回はSeagate Technologyの四半期業績(2019会計年度第1四半期)について解説する。
2018年7月〜9月期におけるHDDのトップベンダーはSeagate
Seagateの製品別売り上げは、「HDD製品」と「その他(エンタープライズ・システムやフラッシュメモリ応用品など)の製品」に分けられる。売り上げのほとんどを占めるのは、HDD製品である。HDD製品の売り上げは、前年同期比17.2%増、前四半期比5.6%増の28億100万米ドルとなった。その他の製品の売り上げは、前年同期比21.5%減、前四半期比3.8%増の1億9000万ドルである。主力製品であるHDDの売り上げが増えていることが、好調な業績に結びついている。
なおWestern Digitalの2019会計年度第1四半期(2018年7月〜9月期)におけるHDD製品の売り上げは24億9400万ドルだったので、同四半期はSeagateがHDDのトップベンダー(金額ベース)であることが分かる。
エンタープライズ向けHDDの平均容量と売り上げ比率が増加
Seagateは、HDDの1台当たりの記憶容量を応用分野別に公表している。応用分野はエンタープライズ向け、エッジ(クライアント)の非コンピュータ向け、エッジ(クライアント)のコンピュータ(デスクトップPCとノートPC)向けとなっている。エンタープライズ向けHDDの平均記憶容量は5.2TB、エッジの非コンピュータ向けHDDの平均記憶容量は2.2TB、エッジのコンピュータ向けHDDの平均記憶容量は1.2TBである。前年同期における平均記憶容量はそれぞれ3.9TB、1.9TB、1.1TBだった。エンタープライズ向けの搭載容量が大幅な増加傾向にあり、その他は搭載容量の伸びが鈍化している。
同社は応用分野別にHDD製品が売り上げに占める比率も発表した。エンタープライズ向けが42%と最も多い。エッジの非コンピュータ向けは31%、エッジのコンピュータ向け(PC向け)は20%である。前年同期はそれぞれ36%、29%、26%だった。エンタープライズ向けの比率が上昇し、PC向けの比率が減少する傾向にある。
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