2019年におけるAIの動向はどうなるのか:半導体市場のけん引役
ここ1〜2年の間に、人々は随分AI(人工知能)について語るようになった。そこで、2019年におけるAIの動きについて予測してみたいと思う。
ここ1〜2年の間に、人々は随分AI(人工知能)について語るようになった。そこで、2019年におけるAIの動きについて予測してみたいと思う。
AI用アクセラレーターの開発が進む
まずは、ディープラーニング向けのアクセラレーターだ。ディープラーニングニューラルネットワークをトレーニングするための新しいアクセラレーターの開発が進んでおり、筆者が知るだけでも4つが現在サンプリング中である。巨大なWeb企業は、少し前からこうしたチップを求めてきた。Baiduの研究者であるGreg Diamos氏は2016年の時点でこのように話している。「機械学習のモデルのトレーニング(学習)は、計算能力によって制限されている。より高速なプロセッサがあれば、より大きなモデルを使うことができるだろう」
2019年に、データセンターのトップオペレーターが大量にこれらのアクセラレーターチップを購入し始めるであろうことは想像に難くない。
ディープラーニングを加速させるアクセラレーターの開発に関わるスタートアップの中には、巨額の投資を受けているところもある。
例えば、Habana Labsは2018年11月に7500万米ドルのラウンドを完了し、その総額は1億2000万米ドルとなった。Wave Computingは、これまでに8600万米ドルのラウンドとこれまでの総額2億米ドルを突破している。
推論向けのベンチマークが必要に
機械学習の業界標準ベンチマークである「MLPerf」のようなベンチマークが、他にも出てくるだろう。クラウドと組み込みシステムの両方をカバーする推論向けの一連のベンチマークが発表されることも、既に明らかになっている。
これに伴い、チップベンダーは、ディープラーニングのための新たなベンチマークを採用する必要が出てくるだろう。チップベンダーの顧客や投資家は、ベンチマークの採用を要求すべきである。われわれは、“性能の誇大広告”に耐えることはできないからだ。
これまでのところ、Google、IntelおよびNVIDIAだけが、MLPerfが最近リリースした初期のバージョン0.5トレーニングベンチマークを使用して、幾つかのシステムに関する結果を公開した。今後は、より多くの企業がこうした結果を公開すべきだろう。それによって、ディープラーニング分野の現状や、進むべき方向が分かるのではないか。
“AIソフトウェアプラットフォーム”が過剰に?
これは既に起きつつあることかもしれない。ここ数週間で、筆者はさまざまな種類の“AIソフトウェアプラットフォーム”の発表を聞いている。ただ、こうしたプラットフォームによって、AIアプリケーションの開発がどれほど容易になるのか、筆者としては甚だ疑問である。
今後数年間は、こうした“AIプラットフォーム”が、雨後のタケノコのごとく出てくるだろう。エンドユーザーと投資家は、これらプラットフォームの性能と価値を見極める目を磨くべきだ。
汎用AIへの関心が高まる?
ディープラーニングに対する熱意と資金は、汎用AIに関する研究開発への関心も高めている。例えば、手のひらサイズの電子手帳「Palm」を開発したJeff Hawkins氏は、汎用AIを開発すべくNumenta(ヌメンタ)を立ち上げ、新皮質計算モデルの理論を展開している。
人間の脳の仕組みがどうなっているのか、実際には解明されていない。2019年以降は、AIというものに対して、より根本的な疑問を投げかける人が増えてくるのではないだろうか。そうした疑問が、これまでなかったような議論や進捗(しんちょく)をもたらすことを願っている。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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