384個のLEDを個別制御、リアランプを自由に点灯:オートモーティブワールド2019
オン・セミコンダクターは「第11回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2019年1月16〜18日、東京ビッグサイト)で、LEDリアランプ向けのLEDドライバICや、自動車のパワーシートに搭載されているモーターを1チップで制御できるドライバICなどを展示した。
オン・セミコンダクターは「第11回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2019年1月16〜18日、東京ビッグサイト)で、LEDリアランプ向けのLEDドライバICや、自動車のパワーシートに搭載されているモーターを1チップで制御できるドライバICなどを展示した。
LEDリアランプをさまざまなパターンで点灯する
LEDリアランプ向けとして、32個のLEDドライバICを使って384個のLEDを個別制御するデモを展示した。欧州では、高級車を中心に、LEDリアランプを搭載し、ウィンカーの他、ドアロックの施錠時/解除時にLEDをいろいろなパターンで点灯させるなど、クルマのデザイン性を高める動きがある。オン・セミコンダクターが開発中のLEDドライバIC「NCV7685」は、1チップで最大12個のLEDを個別制御できる。車載向けなので電流値と熱損失を抑えた。
オン・セミコンダクターによると、上の動画のようにLEDリアランプをアニメーションのように使用するといった、デザイン性にこだわる機能をいち早く採用するのは、欧州の自動車メーカーだという。「欧州にもデザインセンターを持つ当社は、欧州の自動車メーカーと関係が深く、こうした市場要求を早く取り入れることができる」(オン・セミコンダクター)。今回のデモも、Audiからアドバイスや意見をもらって仕上げたものだという。
1チップで5〜10個のモーターを制御可能
主に高級車で採用されているパワーシートは、普及価格帯の自動車にもオプションなどで採用が始まっている。パワーシートのモーター駆動には機械式のリレーが使われていることが一般的だが、機械式だと摩耗などで耐久性が低下していくことや、「カチカチ」という音が出るといった理由から、高級車のパワーシートではリレーではなく半導体デバイスを採用することが増えているという。
オン・セミコンダクターが開発中のドライバIC「NCV75xx」は、こうしたパワーシートに向けた製品だ。同社は、「パワーシートには、5〜10個のモーターが搭載されているが、それらを1チップで制御できる」と説明する。さらに、電流が少ない場合は安価なMOSFETを使うといったように、負荷電流に応じてMOSFETを柔軟に選択できる点も特長だ。4チャンネル、6チャンネル、7チャンネルと3品種のラインアップをそろえていて、2019年夏にサンプリング出荷を、2019年内あるいは2020年初頭に量産出荷を開始する予定だという。
ADAS(先進運転支援システム)/自動運転向けとして、センサーやモータードライバICなどを搭載したデモ用システムも展示した。デモでは、カメラで撮影した映像をイーサネット経由で送信し、ディスプレイに出力していた。
システムとしては、末端のECU(電子制御ユニット)を想定した基板と、より上流に搭載されるECUを想定した基板の2つを用意。前者には、障害物との距離を測定するための超音波センサーの他、カメラ、カメラの向きを変えるためのモーターを駆動するドライバIC、カメラ用のCMOSイメージセンサーなど、オン・セミコンダクターの量産品が搭載されている。後者の基板には、オン・セミコンダクターが開発中のイーサネット通信用ICを搭載している。
基板に搭載されているチップの詳細。型番が書かれているチップは全てオン・セミコンダクターの量産品である。特に、超音波センサー用のコントローラーIC「NCV75215」(写真右で「パークアシスト用ソナーセンサコントロール用IC」と書かれているチップ)を手掛けている半導体メーカーは少ないという。「2018年にNCV75215を約1億個出荷した」(同社) (クリックで拡大)
車載向けパワーモジュールの一つとして、電動コンプレッサー向けのモジュールを展示した。モジュールには、オン・セミコンダクターのIGBTが6個、ゲート駆動ドライバIC、ダイオードが搭載されている。オン・セミコンダクターは、これらのICをディスクリートとしても提供できるが、「電動コンプレッサー向けでは、発熱とスペースの課題からモジュールへの要望が高くなっている」(同社)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オンセミ、日本で“パワーデバイスリーダー”目指す
2017年3月にON Semiconductor日本法人社長に就任した滝口修氏にインタビューし、日本での成長戦略、事業戦略について聞いた。 - EV用パワー半導体「全てそろえている」 オンセミ
オン・セミコンダクターは「第10回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)向けのパワー半導体などを展示。EVやHEVに必要な製品をほぼ全てそろえていると強調した。 - 幅広いバリエーションが強み、オンセミの車載パワー
オン・セミコンダクターは、「第1回名古屋オートモーティブワールド」(2018年9月5〜7日、ポートメッセなごや)に出展し、車載パワーモジュールの各製品や超音波センサー制御用ASSPなどの展示を行った。 - 富士通三重工場の売却も決定……これからどうなる? 日本の半導体工場
2018年6月末、旧富士通三重工場を運営する三重富士通セミコンダクターが台湾のUMCに売却され、2019年1月にはUMCの完全子会社となると発表された。今回の売却も含めて“日本の半導体工場”の現状および、今後の方向性について考えてみたい。 - LEDへ地道に取り組むオスラム、次世代の光技術を聞く
可視光LEDや赤外LED、半導体レーザーなどオプトエレクトロニクス製品の専門メーカーであるOSRAM Opto Semiconductors。同社の一般照明事業でCEO(最高経営責任者)を務めるEmmanuel Dieppedalle氏に、同社製品の最新動向や今後の研究開発方針、そしてビジネスの展望を聞いた。