中国での需要鈍化、Intelに痛手:業績がアナリストの予測を下回る
Intelが、中国で鈍化しつつある需要に痛手を負っている。米国最大の半導体企業である同社は、2018年第4四半期の決算と2019年第1四半期の予測を発表したが、いずれもウォール街の予測を下回る内容だった。
Intelが、中国で鈍化しつつある需要に痛手を負っている。米国最大の半導体企業である同社は、2018年第4四半期の決算と2019年第1四半期の予測を発表したが、いずれもウォール街の予測を下回る内容だった。
Intelは、2018年第4四半期の売上高が前年同期比9%増となる187億米ドル、純利益は52億米ドルと発表した。2017年第4四半期の純利益では、税法改正に伴う7億米ドルの損失を計上していた。
2018年第4四半期の売上高は、191億米ドルという大方のアナリストらの予測(出典:Yahoo Finance)をわずかに下回った。また、1株当たり利益は1.12米ドルで、こちらも大方のアナリストらの予測である1.22米ドル(出典:同)をわずかに下回る形となった。
Intelの2018年の売上高は708億米ドルで、3年連続で史上最高値を達成した他、2018年第4四半期にはほぼ全ての事業部で成長を遂げた。だが、データセンター関連の売上高の成長は、同社の予測を大きく下回った。その理由として、中国系の顧客からの需要が鈍化したことがある。
Intelの暫定CEOであるBob Swann氏は、売上高が予測を下回った他の理由として、モデムの需要が大幅に鈍化していることと、NAND型フラッシュメモリの価格下落を挙げた。2018年10月以降は、クラウドサービスプロバイダー各社が、クラウドの構築から原価回収へとシフトしたことから、Intelの売上高はさらなる打撃を受けたという。
Swann氏は2018年第4四半期の決算報告後、アナリストらに対して、「2018年10月以降、特に中国で貿易とマクロ経済の懸念が高まった。クラウドサービスプロバイダーは、システム構築から原価回収へとシフトし、需要環境はさらに悪化した。このような状況が当社の収益予測に影響をもたらし、営業利益率予測をわずかながら引き下げるに至った」と述べた。
Intel以外に、Texas Insrtuments(TI)も、中国での需要鈍化からの深刻な影響と、米中間の貿易摩擦による影響を受けている。TIは、四半期の売上高が約2年ぶりに対前年比で下落したことを発表した。同社の重役らは、売上高低下の理由として中国での需要鈍化を挙げている。
2018年に始まった米中間の貿易摩擦は、激化の一途をたどっている。米国と中国は相手国からの輸入品に対して相互に関税を増加するに至った。それでも、2019年1月21日からの週に入るまでは、ほとんどの半導体メーカーが、自社のビジネスへの副次的な影響はほとんどないと報告していた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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