ルネサス、G3-PLC上にKNX通信プロトコルを実装:ビルオートメーション向け
ルネサス エレクトロニクスは、電力線通信(PLC)の国際標準通信規格「G3-PLC」に対応したモデムソリューションに、ビル管理用途で採用が広がる通信プロトコル「KNX」を実装したPoC(Proof of Concept)を開発した。
将来の「KNX IoT」プロトコルへの移行も容易
ルネサス エレクトロニクスは2019年2月、電力線通信(PLC)の国際標準通信規格「G3-PLC」に対応したモデムソリューションに、ビル管理用途で採用が広がる通信プロトコル「KNX」を実装したPoC(Proof of Concept)を開発したと発表した。
開発したPoCに用いるG3-PLC用モデムソリューションは、ルネサス製OFDM PLCソフトウェアモデム「R9A06G037」や基本ソフトウェアを含むRenesas Synergyマイクロコントローラ「S7シリーズ」、電力線ドライバーとして機能する「ISL15102」などで構成されている。
KNXのソフトウェアスタックとノウハウは、Tapko Technologiesから提供される。今後投入予定の「KNX IoT(モノのインターネット)」プロトコルについても、容易に移行することができるという。
KNXプロトコルは、1本の通信ラインでほぼ全ての制御信号を通信できる。PLC通信は、変調技術を用い電力線を活用してデータ通信を行うことができる。このため、大規模なビル内で通信網を拡張し、多くの空調機器や照明機器、各種センサーなどを制御/管理する場合でも、新たに通信用ケーブルなどを追加投資しなくても、効率よくネットワークを構築できるのが特長だ。
G3-PLCは、既存の電力線系統上で高速かつ高信頼、長距離通信を容易に実現できるナローバンド低周波数電力線通信用のプロトコルである。ルネサスは、「ARIB」「CENELEC-A」「CENELEC-B」「FCC」など、G3-PLCアライアンスが定義する全ての周波数帯で認証を取得済みである。
KNXプロトコルを実装したG3-PLCモデムソリューションは、2019年第3四半期(7〜9月)より供給を始める。これに先立ち、「embedded world」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)の自社ブースに開発したPoCを展示する予定だ。
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