HMIはタッチレスへ、注目されるジェスチャー制御:まずはスマホやクルマから?
タッチレス、またはジェスチャーで制御するデバイスの市場投入競争が活発化している。スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress(MWC)2019」(2019年2 月25〜28日) で同分野をリードしていたのがLG Electronics(以下、LG)だ。
タッチレス、またはジェスチャーで制御するデバイスの市場投入競争が活発化している。スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress(MWC)2019」(2019年2 月25〜28日) で同分野をリードしていたのがLG Electronics(以下、LG)だ。GoogleとAppleがそのすぐ後を追う形だ。GoogleとAppleは2019年中に、新たなHMI(Human Machine Interface)を採用した製品を発表する可能性がある。
HMI技術の2つの最新トレンドは、音声駆動とタッチレス/ジェスチャー制御だ。音声制御製品は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日)で、多くの注目を集めた。その一例が、「Alexa Voice Service(AVS)」の統合機能を搭載したNXP Semiconductorの新しいマイコンだ。MWC 2019ではタッチレス制御はあまり注目されていなかったが、音声制御と同様に主要企業が積極的に開発を進めている。
例えば、LGは、Infineon Technologies(以下、Infineon)のTime-of-Flight(ToF)技術の採用によって認証機能とジェスチャー制御を実現したスマートフォン「G8 ThinQ」を発売した。G8 ThinQは、ToFを採用した「Z Camera」と赤外線センサーを組み合わせることで、先進の手のひら静脈認証を実現している。Z Cameraは、LGの「Air Motion」機能を使用して、手を振ったり空中で操作したりすることで、触れることなくスマートフォンの機能を制御できる。
この機能は、InfineonとPMD Technologiesが共同開発したイメージセンサーチップ「REAL3」をベースにしている。他の3Dセンシング技術が、複雑なアルゴリズムを駆使してカメラレンズから対象物までの距離を算出しているのに対し、REAL3は、ユーザーやスキャンした対象物に反射する赤外線を捕捉することで精度を上げている。環境光の下では、ToFはより速く効果的で、アプリケーションプロセッサの作業負荷を軽減できるため、消費電力も削減できるという。
3Dセンシングがユビキタス化する中、フランスの市場調査会社であるYole Développementは、「3Dイメージングと3Dセンシングの世界市場規模は、2023年に185億米ドルに達すると予想される」と述べている。米国の市場調査会社であるResearchAndMarketsは、「より幅広い市場であるタッチレスジェスチャー認識は、2025年までに306億米ドル規模に達する」と予測している。
AppleとGoogleも注力
AppleとGoogleは、両社の特許活動から判断すると、ジェスチャー制御の開発を積極的に進めているようだ。早ければ2019年中にも、タッチレスジェスチャー制御機能を搭載した製品が発表される見通しだ。
Googleは、レーダーを用いた空中ジェスチャーで2つ目の特許を取得した。さらに、米国連邦通信委員会(FCC)は最近、Googleに対し、57G〜64GHzの周波数帯で近距離インタラクティブモーションセンシングに使用するレーダーに適用されるFCCの規則の準拠を免除することを認め、現在の認可基準よりも高い電力レベルで動作することを許可している。
一方でAppleは、マルチタッチのホバーセンシング(指を浮かした状態で検知できる)技術を、多くの特許を用いて開発中だ。Appleは2013年、イスラエルの3DセンサーメーカーであるPrimeSenseを3億5000万米ドルで買収している。
タッチスクリーンをスマートフォン用ディスプレイの“第1世代”と定義づけるなら、ジェスチャコントロールやタッチレスコントロールは“第2世代”だといえるだろう。タッチレスコントロールに注目しているのはスマートフォン業界だけではない。例えばマツダは、新型の「MAZDA3」でタッチパネル機能を除外した。安全上の理由からだ。ジェスチャーコントロール/タッチレスコントロールは、こうした用途にも生かすことができるだろう。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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