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Intelの創業9年目(1976年):メモリの出荷ビット数が4年で18倍に急増福田昭のデバイス通信(184) Intelの「始まり」を振り返る(17)(2/2 ページ)

前回に引き続き、1976年の主な出来事を紹介する。この年にIntelが出荷したメモリは、4Kビット換算で1200万個を超えた。また、マイクロプロセッサ事業を強化すべく、同部門を独立させている。

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マイクロプロセッサ事業部門の設立で同事業を強化

 もう一つの主力事業であるマイクロプロセッサ事業では、同事業を強化するために、事業組織を独立させることにした。すなわち、「Microcomputer Division(マイクロコンピュータ部門)」を設立した。マイクロコンピュータ部門は製品開発やマーケティング、顧客サポートなど、マイクロコンピュータ事業に関するあらゆる業務をこなす。

 またこの年、Intelは2つの重要なマイクロプロセッサ製品を開発する。1つは8ビットマイクロプロセッサ「8080」の後継品種である、「8085」だ。「8085」プロセッサをIntelは、「第3世代の8ビット・マイクロプロセッサ」と呼んだ。8085プロセッサは命令セットが8080プロセッサの上位互換となっており、ユーザーは容易に8080プロセッサから8085プロセッサへと移行できた。

 もう1つは、Intelにとって初めてのマイクロコントローラーである。製品名は「MCS-48」ファミリー。8ビットのCPUとROM、RAM、入出力ポートをシリコンダイに内蔵する。いわゆる「シングルチップマイコン」である。

直径100mmのウエハーによる生産を開始

 メモリ事業とマイクロプロセッサ事業以外では、液晶ディスプレイを備えたクオーツ式の腕時計事業が好調である。ただし、対抗製品として発光ダイオード(LED)・ディスプレイを備えたクオーツ式の腕時計を競合他社が発売しており、市場における競争が激しさを増した。そこでこの年、一般消費者向けにクオーツ式腕時計のテレビ広告を放映した。Intelが一般消費者向けに広告を打つのは、これが初めてである。

 半導体製造では、直径を100mmに拡大した4インチウエハーによる生産を開始した。これまでの主力である直径75mm(3インチ)のウエハーに比べると、4インチウエハーはシリコン面積が約1.78倍に拡大する。同じ面積のシリコンダイであれば、原理的にはスループットが1.7倍に増加する。


半導体回路を作り込んだウエハーの実物写真。上から2インチ(1969年生産開始)、3インチ(1972年生産開始)、4インチ(1976年生産開始)。米国カリフォルニア州サンタクララのインテルミュージアムで2017年6月に筆者が撮影したもの(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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