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半導体市場の成長をけん引する5G、端末向け部品では日本に追い風IHSアナリスト「未来展望」(15) 2019年の半導体業界を読む(3)(3/3 ページ)

IHSマークイットジャパンのアナリストが、エレクトロニクス業界の2019年を予測するシリーズの第3回。今回は、5G(第5世代移動通信)とエンタープライズネットワークを取り上げる。

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ODMダイレクトの存在感が増す

EETJ モバイル通信以外、例えばエンタープライズネットワークについては、いかがでしょうか。

大庭氏 400Gビット/秒(bps)イーサネット(400GbE)が、2019年後半からデータセンターに導入され始めるとみられている。Googleなどが所有している大規模なデータセンターへの設備投資は、2018年の春ごろにいったん完了しているので、現在は調整期といわれているが、400GbEの導入が始まる2019年後半から動き出すと考えている。

 もう一つ、注目しているのがODMダイレクトの存在だ。ベンダーではなく、ユーザー企業に直接納品するODMのことで、いわゆるホワイトボックス(無印ブランド)のサーバを製造している。特にここ3〜4年くらいで、ODMダイレクトのシェアが伸びているが、サーバだけでなく、ルーターやスイッチなど、他のネットワーク機器にもその影響が出ているという話を2017年ごろから聞いていた。これにより、強いブランドを持っている大手のシェアが下がっていて、ホワイトボックスのメーカーがシェアを少しずつ伸ばしている。こうした背景から、ネットワーク機器市場の勢力図に、変化が出てくるとみている。

 ネットワーク機器では、ハードウェアよりもソフトウェアの付加価値が、より高まっていて、ハードウェアは、機能をそぎ落とした安価なもので済ませる傾向にある。例えばスイッチでは、プログラムで制御する部分を多くすれば、スイッチのポート数を減らすことができる。

 エンタープライズネットワークの大手メーカーにとっては、新しいメーカーの台頭に加えて、上述したような、ソフトウェアの付加価値に重きを置いた新技術に対する脅威もあるだろう。

EETJ ホワイトボックスを製造しているメーカーは、中国や台湾に多いのでしょうか。

大庭氏 確かに多いが、最近では、日本のネットワーク機器メーカーが、海外の顧客を取り込むために、海外の製造パートナーと提携して無印ブランドの製品を作るといったケースも出始めている。通信機器メーカーのビジネス形態そのものが、変わってきていると感じる。

大庭 光恵(おおば・みつえ)氏/IHS Markit Technology

 1999年〜ドイツ証券、クレディ・リヨネ証券で産業用エレクトロニクス担当アナリストを担当。その後アセットマネジメント会社にて電子機器、部品、材料、ITサービスのアナリスト/ファンドマネージャーを担当。

 2012年〜現職、IHS Markit Technologyのシニアアナリストとして、市場分析/ビジネス分析を手掛ける。


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