トッパンフォームズ、2周波数帯対応のICタグ:第8回IoT/M2M展 春
トッパンフォームズは、「第8回IoT/M2M展 春」で、「LPWA/エッジAIソリューション」や「RF IDソリューション」について、具体的事例を交えながら紹介した。
太陽電池一体型のAIカメラ付きLED街路灯
トッパンフォームズは、「第8回IoT/M2M展 春」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)で、「LPWA/エッジAIソリューション」や「RF IDソリューション」について、具体的事例を交えながら紹介した。
無線通信技術「LPWA(Low Power Wide Area)」は、長距離通信が可能で通信速度は数キロビット/秒である。電池駆動が可能なため、IoT(モノのインターネット)やRF IDにおける無線ネットワーク構築に適している。同社は既に、LPWA技術を用いてビル内のエネルギー管理や構造物の状態を監視するシステムを提供している。
ブースでは、開発中の「AIカメラ付きLED街路灯」を参考展示した。試作品は片側にAIカメラやLED照明、照度センサー、人感センサー、LPWA無線通信用アンテナなどを取り付けている。その裏側に太陽光パネルを取り付けた一体型で、リン酸鉄リチウム電池を内蔵した。試作品の外形寸法は約70×30cmで、重さは約10kgである。
LED照明は、照度センサーや人感センサーと連動し、暗くなったり人が近づいたりすると、自動で点灯をする。避難場所などを知らせるために、外部からの制御信号でLEDを点滅させることもできるという。
AIカメラは220度の広角で静止画を撮影できる。このデータをエッジ側で処理し、人間やクルマ、物体などを検出することが可能だ。検出した映像のメタデータだけをサーバ側に送信することもできる。防犯や監視の用途に向ける。本体にはSDカードも搭載されており、データを蓄積することも可能である。
1つのタグでHF帯とUHF帯の通信に対応
もう1つ注目を集めていたのが、短距離通信(NFCなどのHF帯)と長距離通信(UHF帯)の機能を1枚に実装した「2周波数帯対応ICタグ」である。
ICタグはその用途などによって、用いる周波数帯が異なる。例えば、製造現場の工程管理や真贋判定などではHF帯のICタグを利用することが多い。NFC対応のスマートフォンやタブレット端末を用いて、タグデータを読み書きできる。交通系カードなどにも広く採用されている近距離通信技術である。
一方、棚卸しや在庫管理などの現場では、複数のモノを一括で読み取ることができるUHF帯のICタグを利用するケースが多いという。効率よくモノを管理できる半面、リーダーライター装置が高価など、課題もあった。
そこで同社は、1枚でHF帯(13.56MHz)とUHF帯(860〜960MHz)の通信に対応できるICタグを開発した。これにより、製品の製造工程から物流、最終消費者に届くまでのトレーサビリティを、1つのICタグで一貫して行うことが可能となる。高価なリーダーライター装置を追加購入する必要もない。
試作したICタグの標準サイズは27×40mmである。この中に2つの周波数帯に対応するICチップとアンテナパターンを実装した。アンテナサイズは23×36mm(標準)である。通信距離(代表値)はHF帯が40mm(出力200mW)、UHF帯が250cm(出力1W)である。
同社は今後、製造業や医療・医薬品分野を中心に2周波数帯対応ICタグの導入を提案していく。利用目的に応じたアンテナ設計などにも取り組む考えだ。
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