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東芝、IGBTとIEGT向け回路モデル技術を開発EMIノイズなどを高精度に予測

東芝デバイス&ストレージは、IGBTとIEGT向け回路モデル技術を開発した。電力効率とEMIノイズを高い精度で高速に予測することが可能となる。

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電力効率の予測値誤差率、従来の20分の1

 東芝デバイス&ストレージは2019年6月、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)とIEGT(電子注入促進型IGBT)向け回路モデル技術を開発したと発表した。従来の回路モデルに比べて、電力効率とEMIノイズを高い精度で高速に予測することが可能となる。同社は早期実用化を目指す。

 IGBTやIEGTといった高耐圧パワーデバイスは、高精度な回路モデルを確立するのが難しいといわれてきた。電子とホール両方の動きを考慮する必要があり、複雑な素子構造となっているためだ。

 例えば、ターンオン特性においては、実測値とシミュレーションで得られた値の間にかい離が生じて、予測できなかったEMIノイズによって、機器に不具合が生じることがある。これを回避するために抵抗を用いると、電力効率が低下するという課題があった。

 そこで今回、2つの特長を備えた新しい回路モデルを開発した。その1つは、理想ダイオードとRC回路を組み合わせたサブ回路を、並列にする構造としたことである。この結果、電子とホールの動きを模式的に表現することが可能となり、複雑なスイッチング特性を、より高精度に予測できるようになった。電力効率の予測値誤差率は、従来の20分の1以下だという。これまでは、電子とホールの動きをどちらか一方のみ計算するモデルとなっていた。


従来の回路モデルと今回開発した回路モデルの比較 (クリックで拡大) 出典:東芝デバイス&ストレージ

開発した回路モデルによる誤差率の改善 (クリックで拡大) 出典:東芝デバイス&ストレージ

 もう1つは、スイッチング動作中に変化する容量への対応である。素子にかかる電圧の変化に対して、容量値が非線形に変化する容量モデルを組み込んだ。これにより、スイッチング時に発生するEMIノイズを、より現実に近い形で予測することができるようになった。

 これらの機能を新たに備えたことで、IGBTやIEGTについても、高精度な回路シミュレーションを実行することが可能となった。モデル構成を最適化した今回の回路モデルを用いると、従来に比べてシミュレーション時間を30分の1以下に短縮することができるという。

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