半導体前工程装置投資額、2020年は20%成長:メモリ投資減で予測を下方修正
SEMIは2019年6月11日(米国時間)、半導体前工程装置に対する投資額の予想を発表した。世界市場における半導体前工程装置への投資は2019年には前年比19%減の484億米ドルとなった後、2020年には同20%増の584億米ドルに反発すると予測している。
SEMIは2019年6月11日(米国時間)、半導体前工程装置に対する投資額の予想を発表した。世界市場における半導体前工程装置への投資は2019年には前年比19%減の484億米ドルとなった後、2020年には同20%増の584億米ドルに反発すると予測している。
2019年はメモリ分野の投資額が大きく減少
SEMIの発表は、2019年第2四半期版「World Fab Forecastレポート」に基づいたもの。このレポートは、SEMIが1300以上の半導体前工程工場における投資額や生産能力、プロセスノード寸法のデータなどを四半期ごとに、製品別にまとめ提供している。
今回の発表は、同年第1四半期版の予測から下方修正した形になっており、SEMIは、「半導体前工程装置に対する投資額は、2020年は旺盛に成長するが、2018年の過去最高記録には20億米ドル届かない見込みだ」としている。
下方修正となった大きな要因は、メモリ分野における投資の減速だ。メモリ分野での投資額は2019年に前年比45%減少となり、2019年の減少の大部分を占める見込みだ。2020年には同45%増加し、前年から80億米ドル以上の増額となって、「全体の投資額回復をけん引する」見込みではあるものの、「2017年、2018年の投資水準と比較すると、メモリ投資額は低水準となることが現時点では予測される」という。
一方、ファウンドリー分野は2019年、前年比29%の増加を見込んでいる。また、投資額全体としてはファウンドリーやメモリ分野と比較して小さいものの、マイクロ分野では、10nmのMPU(マイクロプロセッサ)生産に向けた動きによって、同40%以上の大幅な増加を予測している。
ファウンドリー分野の投資増である程度は相殺
SEMIは、前工程装置に対する投資額予想について、半年ごとの推移もまとめている。
メモリ分野の投資額は、2019年前半に前期比で48%減少しており、このうち、3D NANDが60%減、DRAMが40%減だという。2019年後期からは、増加が見込まれているものの、メモリ分野の投資額が通期で好転するのは、2020年からという予測だ。
マイクロ分野ではMPUを中心に投資が進み、2019年前期には前期比16%の成長を予測。さらに、ファウンドリー分野では同40%の投資増が見込まれており、「単一分野の圧倒的な減少があるものの、2019年前期の投資額全体は、大手ファウンドリー各社による投資増である程度相殺されるだろう」とまとめている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Huaweiへの輸出禁止措置で最も痛手を負うのは米国?
Huaweiは米国の半導体チップを始めとするさまざまな部品の供給を止められることで、短期、中期的には深刻な影響を受けることになるだろう。しかし、アナリストの中には、「長期的に見ると、中国が自立への取り組みを強化し、欧州やアジアなどに拠点を置くサプライヤーからの部品調達を重視していけば、最も強い痛みを感じることになるのは確実に米国のサプライヤーの方だ」とする見方もある。 - WSTS、19年世界半導体市場規模予測を大幅下方修正
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は2019年6月4日、2019年春季半導体市場予測結果を発表した。それによると、2019年の世界半導体市場規模は、前年比12.1%減の4120億8600万米ドルになるという。 - Intelが7nm開発にメド、2021年に市場投入を予定
Intelの経営幹部は、同社の投資家向けの年次ミーティングにおいて「当社の10nmプロセッサは、これまで出荷予定に遅れが生じていたが、今回は、2018年に発表したスケジュール通り、2019年6月に出荷を開始できる見込みだ」と述べた。7nmプロセッサの出荷を2021年に予定していることも明らかにした。 - 主流はシリコンパワー半導体、EV市場に期待大
東芝デバイス&ストレージは、2019年4月、東京都内でパワー半導体に関する技術説明会を実施し、パワー半導体の市場予測や東芝のパワー半導体事業の現状などを説明した。東芝デバイス&ストレージでパワーデバイス技師長を務める川野友広氏は、現在の主流はシリコン製品であり、特に高性能が要求されるMOSFETとハイパワー製品(=IGBT)に注力するとしつつ、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスの将来性にも触れ、「パワー半導体事業は非常に安定した事業だ。今後も製品開発と投資を継続していく」と語った。 - オンセミがGFの300mm工場を4.3億ドルで買収へ
ON SemiconductorとGLOBALFOUNDRIES(GF)は2019年4月22日(米国時間)、米国ニューヨーク州イーストフィッシュキルにあるGLOBALFOUNDRIESの300mmウエハー製造工場を、ON Semiconductorが買収することで正式に契約したと発表した。 - Samsung、19年Q1の業績は大幅悪化 メモリ不況で
Samsung Electronics(以下、Samsung)は、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリチップの価格が継続的に下落する中、2019年第1四半期の売上高、利益とも大幅に減少する見込みだ。