フジクラが28GHz帯RF IC開発へ、アンテナと一体型:2021年をメドに実用化
フジクラは2019年8月7日、米IBMから5G(第5世代移動通信)のミリ波RF IC技術のライセンスを受けることで合意し、それに基づいて次世代のミリ波RF ICを開発すると発表した。
フジクラは2019年8月7日、米IBMから5G(第5世代移動通信)のミリ波RF IC技術のライセンスを受けることで合意し、それに基づいて次世代のミリ波RF ICを開発すると発表した。
IBMのチップおよびパッケージ設計と、フジクラの基板技術、アンテナ技術を組み合わせ、28GHz帯向けのRF ICを開発するという。フジクラの広報によれば、「6GHz帯や60GHz帯向けのRF ICの開発を手掛ける日本企業はあるが、28GHz帯対応では当社が日本初となる」という。フジクラは、IBMが保有するRF IC関連の特許の実施権を得て、RF IC/RFモジュールを、基地局ベンダーやCPE(顧客構内設備)ベンダー向けに提供するとしている。
フジクラが開発を目指す、アンテナとRF ICを一体化したAIP(Antenna-In-Package)。この図でいうと、「RF-IC」はIBMからライセンスを受ける部分で、そのRF-ICとアンテナを一体化し、モジュールとして実装するのがフジクラである(同社広報) 出典:フジクラ
同社の広報によると、2021年の実用化を目指して開発を進めるという。
IBMはミリ波用RF ICの研究開発を14年にわたり行ってきた実績がある。一方のフジクラは、光ファイバー関連の開発で培った高周波領域の電磁波応用技術や材料技術、実装技術を保有しており、これらをベースに、高性能なミリ波無線通信デバイスの実現に向け、アンテナやRF回路設計の開発に取り組んできた。
ミリ波を使った5Gサービスは、米国のオペレーターであるVerizon CommunicationsとAT&Tが既に開始している。中でも、28GHz帯は各国で利用が計画されていて、日本でも総務省が楽天モバイル、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの4社にそれぞれ1枠(帯域幅400MHz)ずつ割り当てている。これら4社は、2024年までの5年間で5G基地局の整備に合計1.6兆円を投資する計画となっている。
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