マイコンは2019年上半期に急落、以降は回復&成長へ:IC Insightsの市場予測
米国の市場調査会社IC Insightsは、2019年8月14日(米国時間)、2019年のマイクロコントローラーの世界市場予測を発表した。マイコン市場は2019年上半期、売上高は前年同期比13%減、出荷数は同14%減と急落したが、2020年以降は回復傾向となり、売上高、出荷数ともに過去最高の規模を更新していくという。
米国の市場調査会社IC Insightsは、2019年8月14日(米国時間)、2019年のマイクロコントローラー(以下、マイコン)の世界市場予測を発表した。マイコン市場は2019年上半期、売上高は前年同期比13%減、出荷数は同14%減と急落したが、2020年以降は再び成長し、過去最高の規模を更新していくという。
IC Insightsによると、過去2年間、マイコン市場は売上高の最高額更新を続けるなど好調だったが、電子システムの全体的な減速や自動車販売台数の低迷、そして、米中貿易摩擦の影響から、2019年上半期にマイナス成長を記録したという。
ただ、マイコン市場は「2019年の半ばから安定化の兆しを見せている」といい、同社は、2019年通期の売上は前年比5.8%減の165億米ドル、出荷台数も同4%減の269億個と、マイナス成長は1桁台の割合にとどまると予測している。
2020年には過去最高の出荷数達成へ
IC Insightsは、マイコン市場は2020年以降は回復傾向が続くとしており、2020年の売上高が前年比3.2%増の約171億米ドル、出荷数は同7%増の289億個に到達すると予測。この出荷数は、2018年に記録した281億個を超える過去最高の水準だという。さらに、中期的な視点でみると、マイコン市場の売上高は2018〜2023年の間3.9%のCAGR(年間平均成長率)で増加し、2023年には213億米ドルを達成、出荷数も6.3%のCAGRで成長し、2023年には382億個となることを見込んでいる。
こうしたマイコンの出荷数の増加は、システムの自動化や組み込み制御の普及、センサー需要の増加、そしてIoT(モノのインターネット)の進化にけん引されているという。
一方で、同社は、特に32ビットマイコンに関して、激しい価格競争による平均販売価格の下落傾向が見られることにも触れている。32ビットマイコンの平均販売価格は2013〜2018年の間、年平均16.1%減と大きく下落を続けており、同社は、2018年〜2023年の間も年平均3.7%減になると予測。勢いは弱まるものの下落傾向は続くという。
車載用分野がマイコンの最終用途市場であり続ける
また、用途別で最も比率が高い車載用マイコンの売上高は、自動車販売数や車両へのセンサー搭載の増加、ADAS(先進運転支援システム)の発展によって2017年には前年比12%増と好調だったが、車両の販売が低迷し始めた2018年には前年比1.1%増と成長が鈍化、2019年には同比5%減の64億米ドルに減少するという。
ただ、2020年には売上高が同比1%増の65億米ドルと好転し、以降継続した成長が見込まれており、2023年には81億米ドルに達すると予測。IC Insightsは、「車載分野はマイコンの最大の最終用途市場であり続ける」としている。また、2019年のマイコン市場全体の売上高の約39%を車載分野が占め、そのうちIoT向け車載用マイコンの比率は約9%になることも予測している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2019年のIC世界市場予測、DRAM売上高は37.6%減
米国の市場調査会社IC Insightsは2019年7月31日(現地時間)、2019年のIC製品の世界市場予測を発表した。カテゴリー別の売上高は、DRAMが、IC市場全体の17%を占めてトップを維持するものの、前年比では37.6%減少する見込みだという。また、NAND型フラッシュメモリの売上高は同31.7%減で、IC市場で第3位のカテゴリーになると予測している。 - IC Insights、2018年の国/地域別IC市場世界シェア発表
米国の市場調査会社IC Insightsは、2019年6月18日(米国時間)、2018年の世界のIC市場シェア調査結果を発表した。IC企業の本社所在地/地域別にまとめたもので、トップの米国がシェア52%と全体の過半数以上を占める結果となった。2位は韓国の27%で、2017年から3ポイント上昇。日本は2位から大きく離された7%で3位。4位は欧州と台湾でともに6%、その後は中国の3%となっている。 - Huaweiへの輸出禁止措置で最も痛手を負うのは米国?
Huaweiは米国の半導体チップを始めとするさまざまな部品の供給を止められることで、短期、中期的には深刻な影響を受けることになるだろう。しかし、アナリストの中には、「長期的に見ると、中国が自立への取り組みを強化し、欧州やアジアなどに拠点を置くサプライヤーからの部品調達を重視していけば、最も強い痛みを感じることになるのは確実に米国のサプライヤーの方だ」とする見方もある。 - エルピーダの経営破綻でDRAM価格は上昇へ
複数の市場アナリストによると、エルピーダメモリが会社更生法の適用を申請したことは、DRAM市場に思わぬ好況をもたらすかもしれないという。 - HiSiliconの勢いと禁輸措置
今回の禁輸措置が、米国の思惑とは全く逆の結果を招く契機になるのかもしれません。 - 19年Q1の半導体売上高、Intelが首位に返り咲き
市場調査会社のIC Insightsによると、2019年第1四半期における半導体売上高ランキングにおいて、メモリ市場の低迷からSamsung Electronics(以下、Samsung)が2位に落ち、Intelが首位に返り咲いた。