鉄道と航空機の電動化:福田昭のデバイス通信(202) 2019年度版実装技術ロードマップ(13)(2/2 ページ)
今回も、「モビリティー」から、「2.4.4 電動化」の概要を紹介する。今回は鉄道車両と航空機の電動化に関する部分の概要を取り上げる。
航空機の重量低減と二酸化炭素の排出削減を電動化が支援
航空機の動力源は、エンジンである。エンジンは航空機を飛行させる推力を発生させる。それだけでなく、機体制御装置や航法装置、空調装置などの動力源になっている。すなわち、エンジンの生み出す回転力によって発電器を回して機体の航法装置や電気系統などに電力を供給する。また同じく回転力によって油圧ポンプを動かして油圧を作り、アクチュエーターを動かす。
さらに、エンジンは空気を圧縮して高温・高圧の空気を生み出す。この高温・高圧の空気によって空調を制御したり、主翼の氷結を防いだりする。
これらの油圧ポンプあるいは高温・高圧空気を動力源としていたユニットを、電力を動力源とするユニットに置き換えようとする動きが「MEA(More Electric Aircraft)」(航空機システムの電動化)である。MEAによって、機体重量を減らして燃費を向上させるとともに、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)の排出抑制を目指す。
MEAと連携する形で進んでいる取り組みに、「MEE(More Electric Engine)」(エンジンシステムの電動化)がある。MEEの要素技術には、「電動燃料フィード・システム(Mifee:Metering and integrated fuel feeding system)」「エンジン内蔵型発電システム」「軸流圧縮機の可変静翼用電動アクチュエーター」などがある。MEEでも、燃費向上や炭酸ガス排出抑制などが期待できる。
(次回に続く)
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