ドコモ、ガラスアンテナによるLTEサービス開始:ビル窓を活用しサービス範囲拡充
NTTドコモとAGCは、共同開発したガラスアンテナを東京都内のビル窓に設置し、4G(第4世代移動通信)LTE携帯電話向けサービスを始めた。
2020年中には5Gサービスへも適用
NTTドコモとAGCは2019年10月、共同開発したガラスアンテナを東京都内のビル窓に設置し、4G(第4世代移動通信)LTE携帯電話向けサービスを始めたと発表した。両社は5G(第5世代移動通信)対応のガラスアンテナも開発しており、2020年中にもガラスアンテナを用いた5Gサービスを開始する予定だ。
移動通信のトラフィック量が増大し、スモールセル基地局用アンテナの増設が急務となっている。ところが通信用アンテナを増やす場合、設置する場所が限定されることや、増設によって街の景観が損なわれることなどが課題となっている。そこで、NTTドコモとAGCは、ビルの窓ガラスに注目。室内側の窓ガラス表面に貼り付けて利用することができる、透明なガラスアンテナ「WAVEATTOCH」を共同開発した。
開発したガラスアンテナは、「Glass Interface Layer(グラスインタフェースレイヤー)」効果により、窓ガラスを通過した電波の減衰や反射を抑えることができるという。また、ビーム形成技術により、エリア半径は約100〜200mとなり、通常のアンテナを採用したスモール基地局と同等の領域をカバーできることが分かった。もちろん、街の景観を損なうこともなく、施工も従来に比べて容易である。今回用いたガラスアンテナの外形寸法は850×212mm、重さは約2.5kgである。対応周波数は3.44G〜3.52GHz帯。
両社は、今後商用サービスが開始される5Gシステム向けのガラスアンテナも開発しており、2019年中に開発を完了させる予定だ。アンテナ設置が難しい場所でも「窓を基地局化」することによって、5Gの通信エリア拡充に取り組む。
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