AIチップ設計拠点を公開、試験運用を開始:中小・ベンチャー企業を支援
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、東京大学浅野キャンパス(東京都文京区)内に設けた「AIチップ設計拠点」の試用準備が整ったため、中小・ベンチャー企業を中心に拠点を公開し、試験運用を始めた。
遠隔地のサテライト拠点などからも利用可能
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2019年10月、東京大学浅野キャンパス(東京都文京区)内に設けた「AIチップ設計拠点」の試用準備が整ったため、中小・ベンチャー企業を中心に拠点を公開し、試験運用を始めると発表した。
NEDOは、AIチップの開発を加速するために、イノベーション推進事業を展開している。この一環として、産業技術総合研究所(産総研)や東京大学と共同で、AIチップ設計の拠点整備を進めてきた。
試験運用を始める設計拠点には、AIチップ設計に必要となるEDAツールやハードウェアエミュレーター、標準IPコアが用意されている。また、AIチップ設計に必要な共通基盤技術の開発、知見やノウハウの蓄積、人材育成などにも取り組む。これらの活動を通じて、中小・ベンチャー企業が保有するアイデアをチップに落とし込み、革新的な構想を具現化するための支援を行う。
AIチップ設計拠点は、直接訪問して設計環境を利用することができるほか、遠隔地からもネットワークを介して利用することが可能だ。福岡県産業・科学技術振興財団(ふくおかIST)は、ロボット・システム開発センター(福岡システムLSI総合開発センター)内に地域サテライトを設けている。このブースからも本拠点の設計環境が利用できる。福岡以外でも、地域サテライト拠点を増やしていく予定である。
設計環境としては、上流設計や物理設計を行うためのEDAツール群を始め、23億ゲートの大規模回路で100億サイクルを数時間で検証できるハードウェアエミュレーター、28nm/40nmプロセスを利用できる標準インタフェース回路などの標準IPコアなどを用意した。これら標準IPコアを搭載した評価ボードを用いて、利用者が開発した回路との接続性などを事前に検証することもできる。
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