産総研と東大、AI機能付きDASチップの開発加速:AIチップの研究開発拠点を設立
産業技術総合研究所(産総研)エレクトロニクス・製造領域は、東京大学浅野キャンパス内に、「産総研・東大AI(人工知能)チップデザインオープンイノベーションラボラトリ」(AIDL)を、東京大学大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)と共同で設立した。
エッジ側で高効率のデータ取得と処理を実現する
産業技術総合研究所(産総研)エレクトロニクス・製造領域は2019年9月1日、東京大学浅野キャンパス内に、「産総研・東大AI(人工知能)チップデザインオープンイノベーションラボラトリ」(AIDL)を、東京大学大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)と共同で設立したと発表した。
AIDLは、エッジ側で高効率なデータ取得と処理を可能とする、AI機能付きDAS(デジタルアナログセンサー)集積システムの設計や検証、評価、計測といった開発環境を構築し、システム開発を推進していくための拠点となる。
さらに、AIDLでの研究成果を基に産業界との連係を強め、独自のAIチップ実用化などを加速する。そのために、東大の集積回路設計や評価、計測技術と、産総研が強みとするシステム応用技術を持ち寄り、共同で開発を行うことにした。
AIDLは、取り組む主な研究テーマとして3つ挙げた。1つ目は、「DAS集積システムの設計・検証・評価手法の研究」である。AI機能付きDAS集積システムを実現するためのアナログ−デジタル要素技術やシステムアーキテクチャ、設計検証手法などを研究する。
2つ目は、「AI機能を回路に実装するための基盤研究」である。AI処理に向けたFPGAアーキテクチャ探索やAI処理に特化したFPGA開発アセットを構築する。また、医療や工業システムにおける、AIアクセラレーターを活用した画像解析応用など、AI機能を実装するための研究開発を行う。
3つ目は、「脳活動計測用のAI機能付きDAS集積システムの開発」である。人間の身体機能や認知機能を補助するために有用な、脳活動計測や刺激を与えるためのLSIや信号処理技術および、脳活動計測に必要なシステムの開発を予定している。
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