Kionix、ADP搭載の3軸加速度センサーを開発:マイコン側の演算負荷を軽減
ロームグループのKionixは、ノイズフィルタリングの機能を取り込んだ3軸加速度センサー「KX13x-1211」を開発、量産を開始した。
新たな省エネモード搭載で、長時間動作も可能に
ロームグループのKionixは2019年10月、ノイズフィルタリングの機能を取り込んだ3軸加速度センサー「KX13x-1211」を開発、量産を開始したと発表した。産業機器のモーター振動解析などの用途に向ける。
KX13x-1211は、独自のADP(Advanced Data Path)機能を搭載した。これにより、これまではマイコン側で行っていたFFT解析やフィルタリングといった信号処理を、加速度センサー側で実行することができる。カスタマイズ可能な複数の周波数フィルターを内蔵しており、これらを重ね合わせて自由度の高いフィルターを構築することができる。マイコン側の負荷軽減にもつながるという。
KX13x-1211は、2種類の製品を用意した。「KX132-1211」は、最大周波数帯域が4200Hz、加速度は±2〜±16gの範囲で検知できる。上位製品となる「KX134-1211」は、最大周波数帯域が8500Hz、加速度範囲は±8〜±64gである。いずれも、動作温度範囲は105℃まで対応しており、高温下での動作を可能とした。
新製品は、消費電流も抑えた。低消費モード時は0.67μAで、この数値は同社従来製品に比べて半分以下だという。また、加速度を検知した時にスリープモードから自動起動する「ウェイクアップ機能」に加え、加速度が一定期間検知されないと、マイコン側も省エネモードに切り替わるよう促す「バックツースリープ機能」も新たに実装した。
同社は、マシンヘルスモニタリングやGPS機能と組み合わせた物流のトラッキング、ウェアラブル機器、自動車用スマートキーなどの用途に提案していく。サンプル価格(税別)は1500円。既に月産10万個体制で量産を始めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- LDOで“コンデンサー不要”に、ロームの「NanoCap」
ロームは、出力コンデンサーを使わなくても電源ICを安定動作させる技術「Nano Cap」を開発した。まずはリニアレギュレーター(LDO)に適応する「Nano Cap LDO」として商品化を目指している。 - ローム、高効率で低消費電力の昇降圧電源IC
ロームは、電力変換効率が高く消費電流も極めて小さい昇降圧DC-DCコンバーターIC「BD83070GWL」のサンプル出荷を始めた。 - ローム、車載向け1200V耐圧のIGBTを開発
ロームは、車載用電子部品信頼性規格「AEC-Q101」に準拠した、耐圧1200VのIGBT「RGSシリーズ」4機種を発表した。 - ローム、4端子パッケージのSiC MOSFETを量産
ロームは、4端子パッケージを採用した耐圧650V/1200VのSiC(炭化ケイ素) MOSFET「SCT3xxx xR」シリーズとして6機種を開発、量産を始めた。従来の3端子製品に比べて、スイッチング損失を35%も削減できるという。 - ローム、AEC-Q101準拠のSiC MOSFETを10機種追加
ロームは、車載向け個別半導体の信頼性規格「AEC-Q101」に準拠したSiC(炭化ケイ素) MOSFET「SCT3xxxxxHRシリーズ」として、10機種を新たに追加した。 - 車載インバーターのSiC採用、2021年以降に活発化
ドイツ・ニュルンベルクで毎年5月ないし6月に開催されるパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe」において、年々存在感が高まっているのが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)向けのパワーエレクトロニクス技術の紹介に特化したブース「E-Mobility Area」である。