医療、ライフサイエンスで発揮するソニーの技術力:6年ぶりのCEATEC出展(3/3 ページ)
ソニーは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)で、メディカルイメージング領域とライフサイエンス領域に関する技術や製品を初めて展示した。同社がCEATECに出展するのは2013年以来6年ぶりだ。
光ディスク技術の応用で「細胞を識別」
ライフサイエンス領域では、光学解析技術や動き解析アルゴリズムなど、応用再生医療や免疫学分野で活用している技術を紹介した。
光学解析技術の例として展示されていたのは、セルソーター「SH800S」だ。セルソーターとは、微細な流路が作られた「セルソーティングチップ」に細胞を高速に流しながらレーザー光を照射し、そのレーザーが照射された細胞が発する光や蛍光を検出することで、細胞の種類や大きさなどを識別するもの。ここにソニーが培ってきたBlu-rayなどの光ディスクの検出原理や小型機構設計技術を応用することで、高機能、高精度かつ一般的な製品に比べ体積比約3分の1の小型化を実現しているという。また、セルソーティングチップについても、従来の一般的なものは石英製で固定式なのに対し、光ディスクで培った微細加工技術を応用することによって、プラスチック製で簡単に交換可能な独自製品を実現しているという。
Live Cell Imaging技術は、ソニーがAV機器で培ってきた動画像の解析技術を応用した独自の細胞解析アルゴリズム「Motion Vector Prediction Method(MVP法)」によって、細胞の動きを高速に検出することを可能にしたものだ。従来必要とされる染色試薬を用いることなく、培養細胞の環境を維持したまま高速かつ高解像度に解析することができるという。会場では、この技術を使ったライブセルイメージングシステム「SI8000」を展示。実際にシステムで培養された心筋細胞の拍動を評価する様子のデモが用意されていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2019年上半期半導体企業ランキング、Intelが首位奪還
米国の市場調査会社IC Insightsは2019年8月20日(米国時間)、2019年上半期の半導体企業売上高トップ15を発表した。IntelがSamsung Electronics(以下、Samsung)を抑えてトップに返り咲いた。IC Insightsは、2019年通期売上高でもIntelが首位の座を取り戻すと予測している。 - ソニー、CMOSセンサー好調で工場フル稼働
ソニーは2019年7月30日、2019年度第1四半期決算を発表した。イメージング&センシングソリューション分野では、モバイル機器向けCMOSイメージセンサーが大幅増収。同分野売上高は前年同期比284億円増の2307億円、営業利益は同204億円増の495億円となった。ソニーの専務CFO、十時裕樹氏は、「主要なスマートフォンメーカー各社の中高級機種に高いシェアで採用されていることに加え、カメラの多眼化やセンサーサイズの大型化によって好調で、自社生産設備はフル稼働の状況だ」と話していた。 - ソニー、監視用途向け4K解像度イメージセンサー
ソニーは、4K解像度のCMOSイメージセンサーとして、セキュリティカメラに向けた2製品を発表した。 - MEMS市場世界ランキングトップ30社を発表、Yole
フランスの市場調査会社Yole Développementは6月10日(現地時間)、2018年の世界市場におけるMEMSメーカー、トップ30社のランキングを発表した。1位はBroadcom、2位はRobert Bosch(以下、Bosch)と前年同様の順位となっている。Yole Développementによると、2018年のMEMSメーカーのトップ30社の総売上高は103億米ドル以上(前年比成長率は約5%)だったといい、「2018年のMEMS市場全体の売上高116億米ドルの90%を、この30社が占めている」としている。 - ソニー独自のLPWA「ELTRES」、サービス開始へ
ソニーネットワークコミュニケーションズは、「ワイヤレスジャパン 2019」で、IoT(モノのインターネット)ネットワークに適したLPWA(Low Power Wide Area)通信サービス「ELTRES(エルトレス)」の概要や、ELTRES対応通信モジュールなどを紹介した。 - ソニー、イメージセンサー需要拡大で設備投資増額
ソニーは2019年5月21日、東京都内で、2019年度の経営方針説明会を開催した。同社社長兼CEOの吉田憲一郎氏は、CMOSイメージセンサー事業について、「今後数年の増産投資が必要だ。生産設備は陳腐化しにくく、長期的に投資リターンは高い」と説明。2020年度までの3年間の設備投資を従来の1兆円から、1兆1000億〜1兆2000億円に増額することを明かした。また、3年間累計の金融分野を除く営業キャッシュフロー目標を2兆円から2兆2000億円以上に増額することも発表した。