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次世代ディスプレイの有力候補「マイクロLED」福田昭のデバイス通信(207) 2019年度版実装技術ロードマップ(18)(2/2 ページ)

今回は、次世代フラットパネルディスプレイのキーデバイスを解説する「2.5.2 マイクロLED」を取り上げる。マイクロLEDパネルの強みとは何だろうか。

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高コントラスト、高精細、高速がマイクロLEDパネルの強み

 マイクロLEDパネルは、100μm角以下の小さなLED(発光ダイオード)を画素数と同じ数だけ並べることでディスプレイを構成する。フルカラーパネルのときは、少なくとも画素数の3倍の数のマイクロLEDを平面状に並べる。

 従来のLEDを使ったディスプレイとマイクロLEDディスプレイの違いは、LEDの大きさにある。従来のLEDディスプレイでは1個のLEDの大きさは約1mm角で、面積にするとマイクロLEDの100倍と大きい。この大きなLEDをワイヤボンディングによって基板に実装する。しかしマイクロLEDではワイヤボンディングに必要な電極パッドの面積が、ディスプレイ面積に対する発光面積の割合を大きく低下させる。このためマイクロLEDは通常、フリップチップによって基板に実装する。

 マイクロLEDパネルの特長は高いコントラストと高い画素密度、高い応答速度にある。コントラスト比は100万対1で、OLEDパネルの100倍、液晶パネルの300倍と極めて高い。画素密度は最大で約5000画素/インチ(ppi)であり、OLEDパネルの約2倍、液晶パネルの約5倍に達する。また消費電力が少ない、視野角が広い(180度近い)といった特長も備える。


マイクロLED(μLED)ディスプレイ技術とOLED(有機EL)ディスプレイ技術、液晶ディスプレイ(LCD)技術の比較。なお、消費電力はLCDを仮に100とした相対値。出典:JEITA(クリックで拡大)

 マイクロLEDパネルの課題は、組み立て工程の製造コストである。まず、安価なワイヤボンディングではなく、高価なフリップチップを使うことから、コストが上昇する。さらに、マイクロLEDを個別に基板に実装しなければならないので、実装のスループットが低い。このため、画素数が多くなると実装コストが著しく上昇してしまう。

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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