インドがLPWANの導入を加速、スマートシティー実現へ:「どの規格も重要」と強調(2/2 ページ)
インドは現在、国内で100のスマートシティーを実現するという政府目標を遂行中だが、4000のスマートビレッジやスマートタウン、スマートシティーの実現に向けて、プログラムの第2フェーズである「Smart City Mission 2.0」の施行を検討しているという。
LoRaWANはエコシステムが強み
Moore氏はEE Timesに対し、「ここ1年で、ネットワーク事業者数の増加率は60%になり、約140カ国に120を超えるネットワーク事業者が存在するようになった」と述べた。同氏は、チップからゲートウェイ、アプリケーションサーバ、セキュリティに至るまで、十分に発展したエコシステムの必要性を強調した。Moore氏は「そのようなエコシステムがLoRaWANに成功をもたらし、今日のデファクトスタンダード(事実上の業界標準)を形作る」と述べた。
スマートシティーは最大の用途分野の一つであるが、Moore氏によると、LoRaWANはそれ以外にもスマートビルディング、農業、インダストリアルIoTといった数多くの領域に用いられているという。同氏は「LoRaWANが本格的に展開すれば、用途は世界中にあるので、投資利益率(ROI)が見えてきて、リソースを管理できるようになる。そうなれば、パーキングの情報から水質や大気環境の情報、交通情報に至るまで、同じネットワークに複数の種類の情報を追加できるようになる。LoRaWANのコスト削減を促進するユースケースは多数あるはずだ」と述べた。
Moore氏によると、IoTの最大の課題はその複雑性にあるという。同氏は「LoRa Allianceが大きな成功を収めたのは、LoRaWANを導入している、あるいはその実装の本格化を支援している500社以上の企業から成る巨大なエコシステムを有しているためだ。そうしたエコシステムこそが、LoRaWANの配備をよりシンプルにする。LoRa Allianceの参加企業は連携し、情報を共有している。また、従来、実際の配備は最終顧客にとって複雑なものであったが、LoRaWANではそうならないように取り組んでいる」と述べた。
Moore氏は、5GやWi-Fiといった他のネットワークや技術との連携が、IoTのマスマーケットを獲得する上で重要であると付け加えた。10年以上の長寿命バッテリー、何マイルもの距離、人工衛星が入り込めない過疎地というように、LoRaWANがその強みを発揮できる領域がある。LoRaWANは、コスト効率の高い配備が可能なネットワークである。そうした非常に明確な特性によって、われわれはIoTのマスマーケットのプレイヤーとなれる」と述べた。
Moore氏は、LoRa AllianceがWi-Fiや5Gをはじめとする他のネットワークや技術と連携するようになると述べた。同氏は「5Gは低遅延であることから、映像や緊急性の高いサービスに向いているが、それらはLoRaWANの領域ではない。将来的には、これら全てのワイヤレス技術を組み合わせて使用することで、あらゆるユースケースに対応できるようになるのではないか」と述べた。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- LPWAの展示が盛況、競争激化の兆しも
スペインで開催された「MWC 2018」では、セルラーネットワークを利用するIoT(モノのインターネット)向けのLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク技術の展示が相次いだ。 - ソニー独自のLPWA「ELTRES」、サービス開始へ
ソニーネットワークコミュニケーションズは、「ワイヤレスジャパン 2019」で、IoT(モノのインターネット)ネットワークに適したLPWA(Low Power Wide Area)通信サービス「ELTRES(エルトレス)」の概要や、ELTRES対応通信モジュールなどを紹介した。 - 村田製作所、最小クラスのLPWAモジュールを開発
村田製作所は、世界最小クラスのLPWA(Low Power Wide Area)モジュールとして「Type 1WG」と「Type 1SS」の2製品を開発したと発表した。従来製品に比べて実装面積を最大で約半分に抑えることができる。 - トッパンフォームズ、2周波数帯対応のICタグ
トッパンフォームズは、「第8回IoT/M2M展 春」で、「LPWA/エッジAIソリューション」や「RF IDソリューション」について、具体的事例を交えながら紹介した。 - IoT用無線モジュール技術と仮想・拡張現実感技術
前回に続き、第2章のテーマ「情報通信」の後半部分を紹介する。今回のキーワードは、LPWA(Low Power Wide Area)無線ネットワークと、現実空間と仮想空間を融合させるクロスリアリティーだ。 - 「IEEE 802.11ah」の実証実験、日本で初公開
802.11ah推進協議会は、「ワイヤレスジャパン2019」で、920MHz帯の周波数を用いる新たなWi-Fi規格「IEEE 802.11ah」の公開実証実験を行った。