パラレルIO 35本とI2C 2系統を差動2ペアに束ねるIC:統合型IoTトランシーバー
ザインエレクトロニクスは2019年10月、最大35ビット(35本)のパラレルIOと最大2系統のI2Cをシリアライズして、差動2ペアに束ねて送受信できるトランシーバーIC「THCS251」の量産を開始した。機器間、基板間の配線コスト、重量、スペースを削減できるICとして産業機器や民生機器など幅広い用途に向ける。
ザインエレクトロニクスは2019年10月、最大35ビット(35本)のパラレルIOと最大2系統のI2Cをシリアライズして、差動2ペアに束ねて送受信できるトランシーバーIC「THCS251」の量産を開始した。機器間、基板間の配線コスト、重量、スペースを削減できるICとして産業機器や民生機器など幅広い用途に向ける。
V-by-One HS技術をベースに開発した統合型IoTトランシーバー
符号化方式として「8B10Bコーディング」を用いた全二重高速通信トランシーバーICであるTHCS251は、同じ8B10Bコーディングを用いるビデオ信号伝送技術「V-by-One HS」の技術をベースに開発されたもの。センサーの搭載点数が増え配線が煩雑になっている産業機器や、小型化が進むノートPCやゲーム機などの民生機器などの用途に向けて、さまざまなデータを少ない配線数で、高速、安定的に伝送するための製品として位置付けられる。
「映像機器分野で実績のあるV-by-One HSのテクノロジーをベースに開発し、高速、長距離伝送を安定的に行えるといった特長を持つ。こうした制御信号やセンサーデータを伝送できる『統合型IoTトランシーバー』であり、V-by-One HSなどと同様にシリーズ展開していく計画。THCS251は、その第1弾製品」(同社)
IOエクスパンダとしても機能
THCS251の最大伝送速度は4.6Gビット/秒(bps)。適応型イコライザーを用いた独自のシグナルインテグリティ技術により、一般的なケーブル(AWG28 STP)を用いた場合でも、10m程度の長距離伝送を行える。差動ペア間はDCバランス信号の全二重通信であり、光通信や無線通信への変換も容易で、一層の長距離伝送や絶縁伝送も手軽に行える。
パラレルIO 35ビット分のGPIOを備える他、2系統のI2Cポートを持ち、同時にI2Cも伝送可能。I2Cの伝送は、トランシーバーIC越しのI2Cマスター、同スレーブ間で伝送する「ブリッジ・延長モード」だけでなく、「IO拡張・延長モード」を選択することが可能。IO拡張・延長モードでは、THCS251のI/OレジスタへI2CアクセスしたGPIOの直接制御ができ、基板間、機器間通信が可能なIOエクスパンダとしても機能する。
サンプリングクロック生成用のオシレーターを搭載している点も特長で、20MHz、40MHz、80MHzのサンプリングクロックを生成できる。外部クロック入力も、9〜133MHzの範囲で選択できる。
この他、通信エラー検知/通知機能や、入力ポート監視によるスタンバイ復帰機能なども備える。「スタンバイ復帰機能は、スタンバイ時間が長いアプリケーションで消費電力を大きく削減できる機能。使用方法にもよるが、消費電流をミリアンペアオーダー以下に抑えられる」(同社)
自由な設定で、低速/高速問わず集約可能
THCS251のパッケージは、9mm角サイズの64ピンQFN(ピンピッチ0.5mm)。電源電圧1.7〜3.6Vの単一電源動作だが、一部のGPIOは5Vトレラントになっている。
同社では「IOの方向、出力バッファタイプ、ノイズフィルター段数を自由に設定でき、低速、高速問わず、さまざまな基板間、機器間の配線をまとめることができる製品であり、広く提案していく」とする。なお、各種設定を行うためのGUIベースの設定ツールも用意されている。
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