28nm FD-SOI車載マイコンやSiCパワーデバイスを公開:オートモーティブワールド2020(2/2 ページ)
STMicroelectronics(以下、ST)は2020年1月15日から東京ビッグサイトで開催されている展示会「オートモーティブ ワールド」(会期:1月17日まで)で、新しい車載マイコン製品群「Stellarファミリ」やSiC(炭化ケイ素)を用いたパワーデバイス製品などを展示している。
振動音を消すためのセンサー
センサー関連展示では、振動音を検出する加速度センサーや230万画素という高画素数を実現したグローバルシャッター機能搭載HDR(High Dynamic Range)CMOSイメージセンサーのデモを紹介した。
振動音を検出する加速度センサーは、音を拾うために開発した“オーディオ加速度センサー”で音声信号のインタフェースとして一般的なTDM出力を備える。サスペンションなどに取り付け振動を検出し、その振動の逆位相音を発生させることで、振動から生じる雑音(ロードノイズなど)を打ち消すことができるという。こうしたノイズキャンセリングは、MEMSマイクなどで音を拾う方法が一般的だが「通常のマイクでは、振動で生じる音を拾いきれない」という。オーディオ加速度センサーであれば、振動音の原因である振動を直接、検出するため、より正確に雑音を把握し、ノイズキャンセリングに生かすことができるという。「電気自動車は車室内が特に静かであり、ロードノイズがより耳障りになる。そこで、より高度なノイズキャンセリングが求められており、オーディオ加速度センサーへのニーズは強い」という。既に海外の自動車メーカーに採用され、実用化済みであり、今後、日本の自動車メーカーなどへの提案を強める方針だ。
グローバルシャッター付2.3M画素HDRセンサー
230万画素という高画素数を実現したグローバルシャッター機能搭載HDR CMOSイメージセンサーでは、ドライバーモニタリングシステムをデモンストレーションした。ドライバーモニタリングシステムでは、赤外光フラッシュをドライバーに照射し、フラッシュ点灯のタイミングでCMOSイメージセンサーで撮影する必要があり、グローバルシャッター機能を備えたセンサーが不可欠。ただ、従来は車載品質のグローバルシャッター機能付きCMOSイメージセンサーは、100万画素程度の低画素数のセンサーしか存在せず、「撮影できる範囲がドライバー1人に限られた」という。今回、デモを披露したCMOSイメージセンサーは、画素数を230万画素にまで増やし、「助手席や後部座席まで、広く撮影できるようになった。そのため、ドライバーのモニタリングだけでなく、助手席に乗車する人の健康状態監視や、置き去り検知などにも対応可能だ」とした。
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