新型コロナ「サプライチェーンに大きな影響の可能性」:村田製、中国工場の再稼働「現時点では不透明」
村田製作所は2020年2月3日、東京都内で2020年3月期(2019年度)第3四半期の決算説明会を行った。説明会の中で、同社取締役上席執行役員企画管理本部経理・財務・企画グループ統括部長、南出雅範氏は、中国を中心に感染が拡大する新型コロナウイルスについて言及。「場合によってはサプライチェーンそれなりに大きな影響が出ることが考えられる」と危機感を示した。
村田製作所は2020年2月3日、東京都内で2020年3月期(2019年度)第3四半期の決算説明会を行った。説明会の中で、同社取締役上席執行役員企画管理本部経理・財務・企画グループ統括部長、南出雅範氏は、中国を中心に感染が拡大する新型コロナウイルスについて言及。「場合によってはサプライチェーンそれなりに大きな影響が出ることが考えられる」と危機感を示した。
村田製作所は、中国の地方政府からの通達を受け、2020年2月9日まで中国内の全工場の稼働を停止している。説明会で南出氏は、「2月10日から稼働予定とはなっているが、現時点では不透明だ」(南出氏)と説明。「通達を出しているのは地方政府ごとだが、今後、厳しめの対応を取った省に他の省が追随する可能性はある」との認識を示した。ただ、足元の受注は好調で「コンデンサーや通信関連のモジュール製品が想定より上振れする可能性がある」としており、新型コロナウイルスに関する不透明感などを含んだうえで、通期の業績予想については2019年10月に発表した予想を据え置いた。
5G基地局向けコンデンサー好調、2020年度も10%能力増強へ
村田製作所の2019年度第3四半期(9〜12月)売上高についてはカーエレクトロニクスや5G(第5世代移動通信)の基地局向けで積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要が拡大した一方、スマートフォン向けに樹脂多層基板(メトロサーク)やMLCC、リチウムイオン二次電池などが減少し、前年同期比4.1%減の4102億円となった。また、営業利益は同7.2%減の795億円、純利益は同6.8%減の561億円で、減収減益となった。
ただ、直近四半期比で見ると、5Gの基地局向けにMLCCの需要が大きく拡大したことなどが影響し、増収増益となっている。MLCCについては受注高も大きく増加しているといい、同社は、2020年度にコンデンサー生産能力を10%増強する方針を明かした。第3四半期のコンデンサー分野全体の売上高のうち、5G基地局向けが占める割合は10%強で、「四半期を追うごとに上がってきている状況だ」という。
直近四半期比ではその他、「圧電製品分野」でも、表面波フィルターが中国のスマホ向けで堅調で5.5%増、「モジュール分野」も、スマホ向けのRFモジュール、Wi-Fiモジュールが増加し、2%増となっている。南出氏は、第4四半期に関しても、「スマホ向けの部品が全般的に想定より好調だ」と説明していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 10cm〜長距離まで1つで計測できる超音波センサー
村田製作所は「オートモーティブ ワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で、独自の技術で残響振動の影響を抑え、10cmの近距離検知を実現した送受分離型超音波センサーモジュールを展示した。2023年ごろの量産化を目指している。 - 村田製作所、フィンランド子会社の新生産棟が完成
村田製作所が、フィンランドの子会社で建設を進めてきた新生産棟が完成した。自動車や産業機器、ヘルスケア機器などに向けたMEMSセンサーの需要増に対応するため、生産体制を強化した。 - 村田製作所、0603MサイズのPTCサーミスター量産
村田製作所は、外形寸法が0.6×0.3×0.3mm(0603Mサイズ)と、極めて小さいPTCサーミスター「PRG03BC181QB6RL」の量産を始めた。 - 村田製作所、ミライセンスを買収し完全子会社化
村田製作所は、3D触力覚技術を活用したハプティクスソリューション技術を提供するミライセンスを買収し、完全子会社とする。 - 「調整局面は終わりを迎えつつある」村田会長
村田製作所は2019年11月29日、東京都内で事業戦略説明会「Information Meeting 2019」を実施した。同社会長兼社長の村田恒夫氏は、「貿易摩擦の景気減速、それに伴う自動車や電子機器の生産調整、電子部品の在庫調整が下押し要因だが、調整局面は終わりを迎えつつある」と、市場環境を巡る認識を示した。 - MLCC市場「全体的に回復が遅れている」村田製作所
村田製作所は2019年10月31日、東京都内で2020年3月期(2019年度)第2四半期の決算説明会を行った。同社の2019年度第2四半期累計(4月〜9月)売上高は前年同期比3.5%減の7609億円、営業利益は同12.9%減の1214億円、純利益は同16.2%減の907億円となった。中国を中心とした世界景気の減速による自動車やスマートフォンの生産台数減が影響した。同社の専務執行役員コンポーネント事業本部長、井上亨氏は、主力のMLCC(積層セラミックコンデンサー)について、「全体的に市場回復が遅れている。特に車載向けは想定以上に長引いており、回復までもう少し時間がかかる」と話していた。