ST、振動検出用3軸MEMS加速度センサーを発表:Industry 4.0の実現を加速
STマイクロエレクトロニクスは、産業機器の振動検出に向けた3軸MEMS加速度センサーと、これらを搭載した評価キットを発表した。
プラグ&プレイの評価キットも
STマイクロエレクトロニクスは2020年4月、産業機器の振動を検出する3軸MEMS加速度センサー「IIS3DWB」と、これらを搭載した評価キット「STEVAL-STWINKT1」を発表した。Industry 4.0(第4次産業革命)に向けた振動検知ソリューションを提供していく。
IIS3DWBは、周波数特性が最大6kHzまでフラットなため、他社製品のように外部で複雑な信号処理を行う必要がない。しかも、状況に応じて75μg/√Hz(3軸モード)と60μg/√Hz(1軸モード)を選択することが可能で低ノイズを実現した。エリアシング・ノイズを防ぐ急峻(きゅうしゅん)なカットオフ特性と高い減衰性能を備えており、機械の振動を高精度に検出できるという。
動作電流は3軸のフル動作モード時で1.1mAと小さく、センサー端末をより長く動作させることが可能となった。動作温度範囲は−40〜105℃である。パッケージは14端子のプラスチック製LGAで供給する。価格は約9米ドル。STマイクロエレクトロニクスによると、IIS3DWBはSPM Instrument製のバッテリー駆動ワイヤレス振動センサー「AIRIUS」に採用されているという。
STEVAL-STWINKT1は、プラグ&プレイ型の評価キット。IIS3DWBに加え、慣性センサーや温湿度センサー、大気圧センサー、デジタルマイクロフォンおよび、広帯域アナログマイクロフォンといった各種センサー、FPU付きArm Cortex-M4プロセッサコアを内蔵した低電力マイコン「STM32L4R9ZI」などを搭載。セキュアエレメントIC「TSAFE-100」も実装可能だという。
通信機能として、「Bluetooth Low Energy4.2」を搭載、「RS485」や「USB On The Go」にも対応する。オプションの「Wi-Fi拡張ボード」や、P-L496G-CELL02評価キットに付属する「STMod+セルラー拡張ボード」を利用することもできる。STEVAL-STWINKT1の価格は約99米ドルである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- STマイクロ、フランスのGaN企業を買収へ
STMicroelectronics(以下、ST)は2020年3月5日(スイス時間)、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体を手掛けるフランスExaganを買収することで合意したと発表した。STは、Exaganの株式の過半数を取得する。 - STとTSMC、GaN半導体の開発と製品化で協力
STマイクロエレクトロニクスとTSMCは、GaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体製品の安定供給に向けて協力していく。 - ST、STM32MP1マイクロプロセッサ製品を拡充
STマイクロエレクトロニクスは、マイクロプロセッサ「STM32MP1」シリーズの新製品を発表した。動作周波数が最大800MHzのデュアルコアArm Cortex-A7と動作周波数が最大209MHzのCortex-M4を搭載している。 - STマイクロ、STM32H7シリーズに3製品を追加
STマイクロエレクトロニクスは2020年2月、32ビットマイコン「STM32H7」シリーズとして新たに、演算性能や電力効率などを高めた3製品を追加した。 - ロームとST、SiCウエハー供給で合意
ロームとSTMicroelectronics(以下、ST)は2020年1月15日、ローム傘下のSiCrystalがSTに対して数年にわたり、SiC(炭化ケイ素)ウエハーを供給する契約に合意したと発表した。 - マイコンのリアルタイム変数監視、マルチOS対応
STマイクロエレクトロニクスは、「STM32ファミリー」用の新しいソフトウェアツール「STM32CubeMonitor」を発表した。STM32を使用したアプリケーションの動作中の変数をリアルタイムにモニターし、表示のカスタマイズもできるマルチOS(Windows、Linux、MacOS)対応ツール。同社のWebサイトから無料でダウンロードでき、STM32ベースのシステム開発に活用できる。