2020年度は増収増益と予想、東京エレクトロン デバイス:新型コロナ影響、下期に回復の前提で(2/2 ページ)
東京エレクトロン デバイスは2020年4月30日、オンラインで決算説明会を実施。2020年3月期(2019年度)通期決算や2021年3月期(2020年度)の業績見込みを説明した。同社は、2020年度の売上高を前年度比1.9%増の1380億円、純利益を同18%増の27億円の増収増益と見込んでいる。
2020年度業績予想の詳細
東京エレクトロン デバイスは2020年度業績予想について、売上高が前年度比1.9%増の1380億円、純利益が同18%増の27億円の増収増益を見込んでいる。
この予想は、COVID-19感染拡大による経済活動減速の影響が上期には出るものの、ピークアウトののち下期からは回復する、という見込みを前提としたものだ。同社社長の徳重敦之氏は、「事業環境がさらに改善あるいは悪化し前提条件が大きく変わり、業績見込み変更が出れば適時修正情報を開示する」としている。
EC事業は、米中貿易摩擦に起因する中国経済の減速が続くほか、COVID-19の影響による自動車向け半導体の減速やBroadcomとの代理店契約解消による減収が、新規顧客商権の取り込みによる増収を相殺するとみている。ただ、PB事業については、5G(第5世代移動通信)サービス本格化に向け半導体製造装置への投資が再開され、設計量産受託サービスの需要が増加する見込みで、EC事業全体の売上高は前年比5%増の1156億円を見込んでいる。
一方で、CN事業は、データ通信量の増大というトレンド継続のほか、テレワークの拡大によるセキュリティ製品導入の加速も見込んでおり、徳重氏は、「新型コロナ関連の動向がプラスに働くと考えている」と説明。ただし、Broadcomとの代理店契約解消による減収のほか、公共教育機関向けビジネスが「端境期となる」ことも見込まれることから、売上高は同11.3%減の224億円と予想している。
上記の業績見込み実現に向け、EC事業では新規移管顧客におけるデザイン活動推進や高効率オペレーションの追求のほか、Microsoft Azureを取り扱うクラウド(課金型)ビジネスの推進、そしてamsの車載向け半導体販売促進などを行っていく、とした。
PB事業については、TED長崎の量産受託向け生産体制の強化やファーストの画像、検査システム事業の拡大などのほか、「医療、医薬分野向けビジネスを拡大していく」と強調。これまで透析装置や超音波診断装置、MRIなどの医療機器向け設計量産受託サービスを通して培った技術を生かし、関連認証も取得したうえで「設計量産受託サービスだけでなく、システム全体を一括で受注するODMメーカーを目指して活動していく」と話した。また製品製造面では、「医療、医薬分野の機器はTED長崎が得意とする少量多品種生産に適合する製品であり、グループ内で開発から製造までを一括受注することで利益率向上を実現する」と説明した。
CN事業では、Pure Storageのオールフラッシュアレイなどの主力製品の販売強化や、セキュリティ製品の拡販とSOC(Security Operation Center)サービスの充実、そしてAI関連製品のマーケティング強化を進めるとした。特にセキュリティ製品については、「働き方改革やCOVID-19感染拡大で企業のテレワーク導入が加速しセキュリティ対策の需要が拡大。当社のソリューション提供に対する引き合いが増加している」と強調した。
「商社機能を持つメーカー」目指す
同社は、2021年3月期に売上高2000億円、経常利益率3.5%以上、ROE15%とする中期経営計画を立てていた。今期はその最終年度となるが、徳重氏は、「売上高については目標に対する乖離が大きくなってしまった。事業環境変化に対する認識が甘かったと痛感しており、この反省点を時期中計に生かしていきたい」と説明。そのうえで、成長に向けた取り組みとして、システム一括受託開発の推進、保有技術を活用した自社製品開発強化、新製品導入/技術サービス体制の確立の3点を挙げ、「当社は、『メーカー機能を持つ技術商社」から、『商社機能を持つメーカー』へ進化する」と語った。
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