新型コロナ影響で2020年度は減収減益に、村田製作所:2019年度決算も減収減益(2/2 ページ)
村田製作所は2020年4月30日、2020年3月期(2019年度)通期決算および、2021年3月期(2020年度)通期業績見込みを発表した。同社は2020年度、売上高は前年度比6.8%減の1兆4300億円、営業利益は同17.1%減の2100億円、純利益は同18%減の1500億円の減収減益を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などを踏まえたもので、同社会長兼社長の村田恒夫氏は、「極めて先行きが不透明な中、短期的な経営のインパクトの最小化と、中長期的な成長機会の備えの両面を意識しながら事業運営を行っていく」と述べた。
2020年度も減収減益見込み、下期回復傾向の見込みで
村田製作所は同日、2021年3月期(2020年度)の業績見込みも発表した。同社は、「エレクトロニクス市場では、中長期的には通信市場における5G導入、自動車の電装化の進展などによって電子部品需要が拡大する見通しは変わらないものの、短期的にはCOVID-19の影響による需要の落ち込みが懸念される」と説明。2020年度通期の売上高は、前年度比6.8%減の1兆4300億円、営業利益は同17.1%減の2100億円、純利益は同18%減の1500億円の減収減益となる見込みとしている。
同社は2020年度の最終製品別の需要予測(部品取り込みベース)として、スマホが消費者心理悪化の影響によって、前年度比10%減の12.4億台となるほか、自動車は、メーカーの減産や消費者の買い控えによって同20%減の6700万台となると予測。PCについては、消費者心理悪化の影響はあるものの、テレワークや巣ごもりによる需要増加も見込まれることから同1%減とほぼ横ばいの3.9億台になる見込みという。結果、製品別の売上予想としては、コンデンサーが前年度比と横ばいとなるほか、圧電製品は同12%程度、その他コンポーネントは同2%程度、モジュールは同17%程度、それぞれ減少することを見込んでいる。
設備投資については、「中期的視点に立ち、需要の拡大が期待できる製品の生産能力増強投資、生産工場棟や研究開発施設の建設を中心に進める」としており、前年度比816億円減の2000億円を計画している。
同社は、COVID-19の2020年度業績への影響について、「売上高で約1700億円の影響がある」と推定しているという。これは、COVID-19の影響が本格化する前に想定していたセット台数と今回の見通しの台数の差分をもとに試算したもので、前年度比の減収額ではない。
なお、今回発表した業績見通しは、「消費者心理が悪化し電子機器や自動車の需要が弱含む」こと、そして、「COVID-19の感染拡大が上期中に収束し、下期から需要が回復に向かう」という前提に基づいている。また、今後自社生産拠点で、新たにCOVID-19を原因とした生産活動の停止がないものとしたうえで設定している。同社は、「今後のCOVID-19の感染拡大や収束の状況、各国政府および地方自治体の要請や指導などによって事業環境が大きく変化する可能性がある。業績見通しの修正の必要性が生じた場合には速やかに開示する」としている。
また、村田氏は2022年3月期(2021年度)の見通しについて、COVID-19の収束を前提としたうえで、「5Gの普及やCASEが本格化すると考えており、需要は大きく回復するとみている。設備投資は2000億円程度の見込みだが、フルに生産設備に投資するようになるだろう」と語った。
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