TSMCの2021年見通しは好調、AMDのシェア拡大で:競合ファウンドリーの追随許さず(2/2 ページ)
米国の投資会社であるWedbush Securitiesでシニアバイスプレジデントを務めるMatt Bryson氏は、「TSMCは2021年に、堅調な回復を遂げていくと予測される。その背景には、AMDなどのファブレスメーカーが現在、Intelから市場シェアを奪い取っているということがある」と述べる。
米主要チップメーカーの動きがファウンドリーに与える影響
【Apple】
同報告書によると、Appleは「MacOS」と「iOS」を組み合わせ、Intel製のプロセッサから自社PC向けに内部開発したArmベースのプロセッサに移行する可能性が高いという。Bryson氏は、「この移行によって、Appleのファウンドリーに対する需要が増加すると予想される」と指摘している。
Bryson氏は、「Appleにとって、移行のメリットは、顧客を同社のエコシステムにさらに固定し、PC、スマートフォン、タブレットなどのハードウェアとソフトウェア開発を結び付けてコスト面での優位性を実現することだ」と述べている。
報告書によると、Appleは、Intelに代えてQualcommとモデムの購入契約を結んだが、この契約は5Gチップでも継続されるという。Bryson氏は、「5Gモデムはコストが上がることを考えると、ファウンドリーの売上高は20億米ドルに達すると予想され、TSMCはこの移行の恩恵を最も受けることになるだろう」と述べている。
【NVIDIA】
報告書によると、NVIDIAは2019年にTSMCとSamsung Electronicsにデータセンター関連のチップ6億米ドル相当を発注したとみられる。Bryson氏は、「2021年はその額が倍増する可能性が高い」と述べている。
【Intel】
同報告書は、「Intelは、学習/推論といった機械学習から5Gモデム、高速NIC(Network Interface Card)/HPC(High Performance Computing)トランスポートなどを含む、特定のデータセンター市場への対応に苦戦し、同事業の多くをファブレスの競合他社に譲った形となりつつある。Intelがこのように苦戦している間に、AMDやNVIDIA、QualcommなどのIntelの競合企業が成長トレンドから利益を得て、Intelから市場シェアを奪っている」と伝えている。
TSMCが最先端プロセスでけん引
「現在、TSMCの生産は約3分の1がサブ10nmだが、5nmの増産に伴って、年内にはサブ10nmプロセスの生産が50%近くになる見通しである」と報告書は伝えている。
一方、TSMCの競合企業は、Samsungを除いて、10nm+にとどまっている。ファウンドリー第3位のGLOBALFOUNDRIESは2018年、先端プロセスの開発を断念し、旧世代のプロセスに注力することを決めた。
Intelの製品の多くは、14nmプロセス適用にとどまっている。Intelの14nmプロセスは、おおむねTSMCの10nmプロセスに相当するが、TSMCは現在、7nmでけん引している。
Bryson氏は、「最先端のプロセスは、ファウンドリーの成長を促進している。AMDやNVIDIA、Qualcommなどが主要製品を最先端プロセスに統一していることは、技術全体の進歩を促進する上で最先端プロセスが重要であることを示している」と指摘している。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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