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光トランシーバーのForm Factor規格(その2)光伝送技術を知る(10) 光トランシーバー徹底解説(4)(3/3 ページ)

前回に続き、光トランシーバーのForm Factor規格を紹介する。

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(6)400G光トランシーバーForm Factor

 400Gも、IEEE 802.3でもめた規格であった。当時500mは100G×4、2kmと10kmは50G×8で規格化された。これは、2kmと10kmは既に需要が見えていたテレコムに対し、可能な技術で応えたためだ。また、OIFで電気インタフェースとして56Gが議論されていたことも影響した。

 現在、ハイパースケールデータセンター応用に向け、100GLambda MSAの規格を取り入れた2kmと10kmの100G×4がIEEE 802.3cuタスクフォースで議論されている。これらは、2021年1月規格化予定だ。

 また、OIFにおいて112Gの規格化が進められており、Form Factorの主流も変化する可能性がある。将来のForm Factorに関しては別途、解説したい。

 2014年には、QSFPを16チャネルに拡張したCDFP MSAが結成された。CDは「400」を表すローマ数字である。2016年、CFP MSAが×16電気インタフェースを有するCFP8仕様を発表し、400Gに対応した。同じ年にデータセンター向けに競合するQSFP-DDとOSFPの2つのMSAが結成された。両方とも×8電気インタフェースとするForm Factorである。

 一方、フロントパネル・プラガブル(x-Pluggable)ではなく、300-pin MSA同様、z-Pluggableのボード上に設置するForm Factorを規格化するCOBO(Consortium for On-Board Optics)が設立された。COBOでは高速大容量の光接続を目指し、電気信号の高速化による短接続距離化への対応とそれによる消費電力低減を目的としている。×8と×16電気インタフェースを有する2つのForm Factorを定義した。これに関してはこの項ではなく、将来のForm Factorの項で述べる。

 さて、競っているQSFP-DDとOSFPだが、QSFP-DDは100G QSFP28とのバックワードコンパティビリティ(QSFP28をQSFP-DDのスロットに挿入することで100Gインタフェースを可能とする)を強みとし、許容消費電力の大きいOSFPは、データセンター間配線(DCI: Data Center Interconnect)向け400GZRを収納できるという事で特長づけられていた。

 現在までに、双方のForm Factorともそれぞれ弱点を克服した。つまり、OSFPは100G QSFP28を挿入できるアダプターを提案し、QSFP-DDも放熱構造を追加して400GZRを収納できる新構造(QSFP-DD type2)を追加した。

【Common Management Interface Specification(CMIS)】

 ×8のForm Factorの議論の中で、マネジメントの共通化が行われたことが大きな動きである。OSFP、QSFP-DD、COBOは"Common Management Interface Specification (CMIS) for 8x/16x pluggable transceivers"で共通化され、いくつかのパラメーターはSFF委員会のSFF-8024で維持管理されることになった。CMISドキュメントはQSFP-DD MSAで得ることができる。なお、現在のCMISはx32まで拡張可能である。

【CDFP Optical Transceiver】

 CDFP MSA(http://www.cdfp-msa.com/)を紹介するにとどめる。特徴はQSFP+を×16に拡張しMezzanine connectorという2階建てのコネクター(2枚のカードエッジ)で幅の増加を抑えたForm Factorであった。×8のOSFPに引き継がれた。

【CFP8 Optical Transceiver】

 100G CFPは前述のようにクロック入出力を有しテレコムに向いていた。400Gに向けても対応したCFP8を規格化した。

【CFP8:50G×8、25G×16に対応】


図13 100G CFP8 Optical Transceiver (II-VI)

【OSFP Optical Transceiver】

 OSFP(Octal Small Form Factor Pluggable)は、MSA規格であり、50Gx8の電気インタフェースを有する。


図14 OSFP光トランシーバー例の外形写真 (CIG)
項目 説明
規格文書 OSFP MSA/
光インタフェース Dual LC
MPO-12、-16、2row-12
CS connector
Quad MDC connector
Quad SN connector
電気インタフェース 60-pinコネクタはMSAで定義
トランシーバーピン配置を図15に示す
機械的仕様 モジュール外形仕様(図16)、コネクタ(図17)、モジュールを挿入するケージ(図18)、タブのカラーコード(図19)
管理インタフェース I2C or I3C
CMIS/
その他 QSFP+アダプター
製品例 CIGの製品例

図15 OSFP光トランシーバーの電気ピンアサイン

図16 OSFP光トランシーバーの外形図

図17 OSFP電気コネクタ

図18 OSFPケージ

図19 OSFPタブのカラー規格

【QSFP-DD Optical Transceiver】

 QSFP-DDは電気接続部を工夫してQSFP28とバックワードコンパティとなるように定義されている。×4のQSFP28のカードエッジを延長しそこに4チャネルを追加し×8を実現している。図20に示すように、コネクターは、QSFP28にはフロントパネルに近い部分(First Row)がコンタクトし、カードエッジが長く突き出しているQSFP-DDには前後方(First & Second Row)の部分のピンがカードエッジに接触するようになっている。


図20 QSFP-DDとQSFP28のバックワードコンパティビリティ

図21 QSFP-DD光トランシーバー例の外形写真 (CIG)
項目 説明
規格文書 QSFP-DD MSA/
光インタフェース Dual LC
MPO-12、-16、2x12
CS connector
Quad MDC connector
Quad SN connector
電気インタフェース 60-pinコネクタはMSAで定義
トランシーバピン配置を図22に示す
機械的仕様 モジュール外形仕様(図23)、コネクター(図24)、モジュールを挿入するケージ(図25)
管理インタフェース I2C or I3C
CMIS/
その他 許容消費電力を大きくしたType 2をType 1と比較して図26に示す
Type 2のヒートシンク例を図27に示す
製品例 CIGの製品例

図22 QSFP-DD光トランシーバーの電気ピンアサイン

図23 QSFP-DD(Type 1)光トランシーバーの外形図

図24 QSFP-DD電気コネクタ

図25 QSFP-DDケージ

図26 QSFP-DD Type 1とType 2

図27 QSFP-DD Type 2のパネル外側ヒートシンク例

(続く)


筆者プロフィール

高井 厚志(たかい あつし)

 30年以上にわたり、さまざまな光伝送デバイス・モジュールの研究開発などに携わる。光通信分野において、研究、設計、開発、製造、マーケティング、事業戦略に従事した他、事業部長やCTO(最高技術責任者)にも就任。多くの経験とスキルを積み重ねてきた。

 日立製作所から米Opnext(オプネクスト)に異動。さらに、Opnextと米Oclaro(オクラロ)の買収合併により、Oclaroに移る。Opnext/Oclaro時代はシリコンバレーに駐在し、エキサイティングな毎日を楽しんだ。

 さらに、その時々の日米欧中の先端企業と協働および共創で、新製品の開発や新市場の開拓を行ってきた。関連分野のさまざまな学会や標準化にも幅広く貢献。現在はコンサルタントとして活動中である。


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