車載カメラとカメラ用コネクタが安全な運転と走行を支援:福田昭のデバイス通信(245) 2019年度版実装技術ロードマップ(55)(2/2 ページ)
今回は自動車用カメラと、そのコネクタについて説明する。
運転者が見る画像とシステムが認識する画像を撮影
車載カメラは当初、カーナビゲーションシステムの普及とともに搭載が始まった。車体後方を監視するリアビュー用カメラとしてである。前席のセンターコンソールに搭載したカーナビ用ディスプレイに、リアビュー用カメラで撮影した車体後方の様子を映し出す。駐車操作の支援用カメラである。
運転者の視界を補助するこのようなカメラはその後、車体側面を監視するサイドカメラ、車体前方を監視するフロントカメラなどが開発され、実用化された。現在ではリアカメラとサイドカメラ、フロントカメラの撮影画像を合成し、自動車を真上から見た映像を表示できるようになっている(全方位モニター)。このほかドアミラーを電子化したカメラもある。
視覚補助以外では、安全な走行を支援するカメラが開発された。自動運転システムが利用するカメラとしては歩行者検知カメラ、赤外線カメラ、白線検知カメラ、車間距離確認用カメラ、運転者検知カメラ、車室内検知(乗員検知)カメラなどがある。またドライブレコーダーもカメラを搭載している。
内部基板とリアケース、リアケースとケーブルをコネクタで接続
車載カメラの種類や用途によってコネクタの構造は異なる。ここではカメラの代表例であるリアビュー用カメラを取り上げ、コネクタの構造を説明しよう。
リアビュー用カメラはレンズ、フロントケース、イメージセンサー(撮像素子)を搭載した内部基板、リアケース、ケーブルなどで構成される。コネクタは内部基板とリアケースの接続(基板接続)部、それからリアケースとケーブルの接続(筐体接続)部に使われる。
リアビュー用カメラに限らず、車載カメラ用コネクタに要求される項目には「接点フローティング」「気密性と防水性」「小型・薄型・軽量」「耐振動・耐衝撃」「高速伝送」などがある。なお「接点フローティング」とは、内部基板とリアケースの接続において相互の位置ずれを吸収する機構を指す。
(次回に続く)
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