NXP Semiconductors新CEO Sievers氏に聞く:コラボレーションに重点(3/3 ページ)
2020年5月27日、NXP SemiconductorsのCEO(最高経営責任者)に2018年9月からNXP社長を務めてきたKurt Sievers氏が就任した。88億米ドルという売上高を誇る大手半導体メーカーを社長兼CEOとして率いることになったSievers氏に、経営方針や今後の市況見通しなどについてインタビューした。
自動車もQ3以降回復か
EETJ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の事業への影響について教えてください。
Sievers氏 まず、生産については、一部の例外を除いて影響はなかった。一部の例外とは、マレーシア・クアラルンプール工場(後工程)でマレーシア政府の強制的な工場閉鎖指示に従い短期的、一時的に閉鎖したことだ。ただ、現状はクアラルンプール工場を含めた全工場で、従業員の安全、健康に配慮しながら通常運営が実施できている。
EETJ 研究開発についてはいかがでしょうか。
Sievers氏 一時は、研究開発担当エンジニアを含むオフィスに勤務する従業員の90%以上が長期間にわたり、在宅勤務を実施した。ただ、個人的にも驚いたのだが、ほとんどの従業員が在宅勤務を行ったにもかかわらず、生産性に影響が出なかった。研究開発については、どうしても自宅でできず、研究室で行わなければならない業務が多くあるが、従業員間で連携し、必要最小限のエンジニアだけが出社し対応するなど非常に柔軟性を持って対応し、遅れなどの影響はでなかった。
現状、オフィスに従業員は戻りつつあり、中国の拠点では、ほぼ100%オフィス勤務に戻っている。欧米、日本のオフィスでは、慎重にオフィスへの出社を再開させているところだ。ただ、オフィス勤務を急いで戻す必要はないと思っている。在宅勤務でも、生産性、効率が落ちないためであり、従業員の健康、安全を最優先して、注意深く、慎重にオフィスでの業務を再開させていく。
EETJ 半導体需要への影響については、どのようにみられていますか。
Sievers氏 半導体需要へのCOVID-19の影響は、まだら模様だ。最も影響を受けているのは、自動車業界。その一方で、自動車以外のビジネス、産業、通信インフラ、モバイルについては、Q1からQ2に掛けて緩やかながら成長している。
自動車生産については、2020年第2四半期(Q2)、4〜6月は前年比4割減といった市場調査会社の見立てもあるほどに、大きな影響を受けている。
なお、早い時期にCOVID-19の影響を受けた中国では、1〜3月、2020年第1四半期(Q1)に最も大きな影響を受け、すでにQ2からは回復基調にある。
そのため、欧米、日本市場も、中国と同じように、Q2を底に、Q3以降は回復していくだろう。ただ、その回復がV字回復になるか、U字回復になるかは、予想がつかない。とはいえ、あまり悲観的にならず、“慎重な楽観主義”で、今後の状況に対処していきたい。
日本の自動車、産業に期待
EETJ NXPにとって、日本市場はどのように位置付けていますか。また日本市場での事業戦略を簡単に教えてください。
Sievers氏 日本市場は、われわれが注力する自動車、産業IoTの分野で成長が期待できる市場だと考えている。
既に、日本の自動車関連企業とは強い絆で結ばれ、強固な関係を構築することができている。この絆を一層強めるとともに、日本の産業/IoT関連企業とも、自動車関連企業と同様の強い関係を構築していきたいと考えている。日本には、本当に優れたロボティクス企業があり、われわれのエッジコンピューティング技術などとの親和性も良く、ともに成長できると考えている。
引き続き、日本への投資を継続し、日本の各種リソースを増強して、顧客との絆を強めていきたい。
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