NIがブランド名とロゴを一新、データ分析会社も買収:National Instruments
National Instrumentsは2020年6月22日(米国時間)、ブランド名を一新した。IBMやKFCのように、これからはイニシャルだけ、つまり「NI」で表記されるようになる。とはいえ、既に多くの人が同社をNIと呼んでいる。名称変更は、同社の一連の変化を象徴している。
National Instrumentsは2020年6月22日(米国時間)、ブランド名を刷新した。IBMやKFCのように、これからはイニシャルだけ、つまり「NI」で表記されるようになる。とはいえ、既に多くの人が同社をNIと呼んでいる。名称変更は、同社の一連の変化を象徴している。NIは、2019年12月にCadence Design Systems(以下、Cadence)と提携した*)。また、同じ年に当時プレジデントを務めていたEric Starkloff氏をCEO(最高経営責任者)に任命した。ただし、Starkloff氏がCEOに就任したのは、前CEOのAlex Davern氏の退任後の2020年2月である。さらに、2020年6月初旬に、データ分析ソフトウェアを手掛けるOptimalPlusを買収した。
*)なおCadenceとNIは2019年12月、NIの100%子会社だった米AWRを買収することで合意した。
通常、これだけの企業活動と名前の変更には戦略の変更が伴うものだ。だが、Starkloff氏は、「そうではなく、実際にはその逆だ。当社は常にソフトウェア指向でやってきたが、世界が当社の方に向かっている」と述べている。
確かに、NIは戦略を変更してはいるが、それはDavern氏の4年間の在任中にStarkloff氏とその他の幹部とともに行われたことだ。
同社の設立は1976年。NIの伝統的な事業形態はエンジニア対エンジニアの作業で、何を測定する必要があるかを尋ねて、テスト用のコードを書き、それを適切なハードウェアに実装するという形だった。当時は、さまざまな企業から1件当たり数千米ドルほどの業務を請け負っていた。
Starkloff氏によると、NIはこうした業務を継続している一方で、近年は、複数の測定を含む、統合システムで実行されるプロセス全体の自動化を支援しているという。プロセスの多様化と複雑化が進むにつれ、業務の規模も数十万米ドルから数百万米ドルへと拡大している。同氏は、「現在、当社の事業の大部分がこうした形になっており、売上高も拡大している」と述べている。
これは全て、エレクトロニクス産業の進化に似ている。かつては、エンジニアが座ってテストを実行し、仕事をかなり短時間で完了できていた。最近は、エンジニアが400万ものテストポイントを実行しなければならず、短時間で完了する方法もない。Starkloff氏は、「1週間テストをしなければならないような場合、市場投入までの時間に影響が及ぶ可能性がある。自動化は必要不可欠で、近年、NIは顧客がテストを自動化する支援を行っている」と説明している。
これには、クラウドや機械学習などの新しい機能でテストと計測業務を強化して顧客をサポートすることも含まれる。
Starkloff氏によると、NIの事業の中で最も急激に成長しているセグメントは半導体ICで、特にアナログ分野の成長が著しいという。同氏は、「それがCadenceと提携した理由だ」と説明している。
「われわれのビジネスの大半はRFとミックスドシグナルであり、それが強みとなっている。当社の顧客のほとんどは、Cadenceのフローを使用している。ミックスドシグナルで自動テストフローを作成することは、これまで誰もできなかったため、共同で取り組むことは理にかなっている」(同氏)
OptimalPlusの買収は、Cadenceとの関係の一環である。OptimalPlusは、半導体、自動車、エレクトロニクス業界向けのデータ解析ソフトウェア開発を手掛ける。NIの既存のテスト/モニタリング製品とOptimalPlusのデータ解析ツールを組み合わせることで、「NIは、ラボから量産に至るまでのテスト/計測を一気通貫で提供できるようになる」とStarkloff氏は説明した。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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