半導体製品のライフサイクルと製造中止(EOL)対策:半導体製品のライフサイクルに関する考察(1)(3/3 ページ)
実際、半導体業界全体で、多くの半導体製品(およびこれらの代替品を含む)の平均寿命は3〜5年未満といわれ、製品群によっては約2年というようなケースも散見されている。このことからも、半導体の製造中止は非常に身近な問題であるといえる。ここでは、その対策について検討する。
代替ソリューションの問題
代替ソリューションの製造元は、製品製造時に、元の半導体製品仕様を完全に仕様化、テストされておらず、しかもその製造プロセスはより微細化されている場合が多いため、次の問題が発生する可能性がある。
- デバイスのスイッチング速度が速い(ノイズの影響を受けやすい)
- 異なる静電容量(ボードレベルの負荷の変更)
- 異なる放射線耐性
- 異なるEMCパフォーマンス
スイッチング速度が速く、容量が異なると、製品でスパイクや異常信号が発生したり、アプリケーションで「競合」状態が発生したりする可能性がある。
オリジナルの半導体メーカーが推奨する後継品が使用されている場合はこのような問題は見られないが、代替ソリューションの場合、これらの状態が発生することにより機器の誤動作につながる可能性がある。
また、微細化されたプロセスを採用した、より小さなセルサイズとなった半導体は通常、古い技術を使用して製造された半導体よりも放射線耐性が低くなる。これにより、ラッチアップやデータの損失が発生する可能性がある。例えば、これらのコンポーネントを高高度で動作する航空電子工学システムで使用すると、航空機の安全性が損なわれてしまう。
さらに、セルサイズが小さい半導体は通常、電気的にも堅ろう性が低く、ラジオやテレビの送信機信号からの干渉を受けやすく、静電放電による損傷を受けやすくなる。例えば、最新のコンシューマ市場向け半導体技術は、一般的に産業市場や軍事市場のような長期間にわたる性能維持を要求されておらず、10年を超えるような製品寿命を想定して設計されていない。逆に、古いテクノロジーで製造された半導体製品と同じ製品寿命を実現するためには、製品に負荷がかからないように使用温度範囲や供給電圧といった仕様を制限していく必要も出てくるだろう。さらに、微細化されたプロセスを使用したICチップは、ダイ自体が小さくなるにもかかわらず、元の半導体製品と同じパッケージを使用する必要がある場合が多々存在する。ダイサイズが小さくなったにもかかわらず、古い製品と同じ大きいパッケージを使うということは、ICチップとリードフレーム間の距離が長くなることを意味している。その結果、パッケージ内のボンドワイヤの長さが長くなるか、またはリードフレームの変更などが必要になる。
ICチップが小さくならないように、古いテクノロジーを使用することも考えられる。だが、当時と同じプロセスが使用できる環境が残っているとは考えにくく、また、コスト面からも決して受け入れられるソリューションとはならないだろう。
こういった面からも、代替ソリューションとして提供されているものは、包括的で永続的なソリューションとして採用するにはリスクが多いといえる。
高い信頼性と費用対効果の大きい選択
オリジナル半導体メーカーから認定を受けオリジナル製品のシリコン技術を使用して半導体製品を再生産するソリューションが存在する。これら新たに再生産されたデバイスは、オリジナル製品と同じ形状、適合性および、機能性を備えた製品になる。例えば、70社以上の半導体メーカーから認定されるロチェスター エレクトロニクスは、再生産品がオリジナル製品と同じ動作することを保証している。
半導体応用機器メーカーは、半導体製品の製造中止や廃品種に対して積極的にアプローチすることにより、生産中断のリスクを軽減し、偽造部品に対しても強い立場を取ることができる。半導体製造中止品の代替ソリューションは、さまざまな障害を引き起こす可能性があり、時には隠れた不整合をもたらす。その中には明らかに認識できるものもあれば、診断が難しいものもある。これらの障害を排除するためには、高い信頼性と費用対効果の大きい選択が必要である。
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