ワイヤレス給電送電装置、2035年に3769億円規模へ:富士経済が市場調査
EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)に向けたワイヤレス給電用送電装置(送電コイル)の市場規模は、2035年に3769億円規模となる見通し。富士経済が調査した。
日本の一般家庭、ワイヤレス給電の本格導入は2030年以降
富士経済は2020年8月、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)に向けたワイヤレス給電/プラグイン充電用部品の世界市場を調査し、2035年までの予測を発表した。この中で、ワイヤレス給電用送電装置(送電コイル)の市場規模は、2035年に3769億円となる見通しだ。
今回の調査対象となった製品は、プラグイン充電用がインフラ側の「コネクターユニット(ケーブル/ガン)」や「パワー半導体」、車載側の「インレット」や「車載充電器」「ジャンクションボックス」。ワイヤレス給電用は、インフラ側の「送電装置(送電コイル)」や車載側の「受電装置(受電コイル)」と「整流器」である。調査は2020年5〜6月に実施した。
同社は注目市場として2つ挙げた。その1つが、ワイヤレス給電用送電装置(送電コイル)市場である。駐車スペースなどで「停車中に給電する装置」と、専用道路に敷設し「走行中の車両に給電する装置」がある。2020年見込みの11億円に対し、2035年は3769億円と予測した。
EVやPHVの普及が進む中国や欧州で、ワイヤレス給電システムの実証実験や製品投入が先行する。日本では、バスやカーシェアリングの車両などで、ワイヤレス給電の実証実験が行われているという。マンションなど住宅環境もあり、一般家庭におけるワイヤレス給電の本格導入は2030年以降を見込む。
ワイヤレス給電用送電装置のほとんどは「停車中給電」に向けた需要である。既設道路の大規模な工事を伴う「走行中給電」向けは、緩やかな伸びと予測した。
もう1つの注目市場が、プラグイン充電用コネクターユニットである。急速充電器あるいは普通充電器に付設される、コネクターケーブルとガンを一体化した製品。2020年見込みの238億円に対し、2035年は950億円と予測した。
急速充電器は、「CCS」と「CHAdeMO」規格に対応するコネクターユニットを搭載したデュアルチャージャーの設置が、欧米を中心に多く見られた。現在、規格の一本化が進んでいるため、今後はどちらかの規格に対応する充電器が増える見通しだ。これに対し普通充電器では、複数のコネクターを搭載し出力を調整する充電器の需要拡大が期待されている。
技術的視点で見ると、充電時間の短縮に向けて大出力化の要求が高まる。このため、クーリングシステムの搭載が進む。超急速充電を行うには、充電器やコネクターケーブルにおける対策だけでなく、ガンなどの設計見直しも必要になる可能性が高いと指摘する。
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