半導体用材料、2024年に約405億米ドル規模へ:富士経済が市場調査
富士経済は、半導体用材料の世界市場を発表した。2019年の329億5000万米ドルに対し、2024年は405億3000万米ドルと予測した。
5G普及によりIoT機器向け半導体需要が拡大
富士経済は2020年8月、半導体用材料の市場調査を行い、その結果を発表した。半導体用材料の世界市場は、2019年の329億5000万米ドルに対し、2024年は405億3000万米ドルと予測した。5G(第5世代移動通信)の普及拡大に伴うIoT(モノのインターネット)機器向け半導体の需要拡大に期待する。
今回の調査は、シリコンウエハーやフォトマスク、フォトレジストなど32品目の前工程材料と、パッケージ基板材料やリードフレーム、封止材など10品目の後工程材料および、モバイル端末用SoCやDRAM、NANDフラッシュメモリ、CMOSイメージセンサーのデバイス4品目を対象とした。調査期間は2020年3〜6月。
2019年はメモリの在庫調整などにより、シリコンウエハーを中心に半導体材料の需要は軒並み減少し、全体では2018年に比べ横ばいとなった。こうした中で、CMPスリラーや炭素フッ素系ガス、テトラエトキシシランなど、メモリの高層化に必要な材料は需要が増加した。
2020年は前年比3.8%増の341億9000万米ドルと予測した。新型コロナウイルス感染症の影響で、需要の伸びは鈍化するが、5Gの設備増強やサーバの処理能力強化などに対する投資は引き続き顕著で、これらが半導体需要を支える。
富士経済は今後の注目市場として、「シリコンウエハー」「フォトレジスト」「CMPスリラー」「炭化フッ素系ガス」および、「パッケージ基板材料」の5品目を挙げた。シリコンウエハー市場は、2019年の110億6000万米ドルに対し、2024年は128億7000万米ドルと予測した。新型コロナウイルス感染症により、自動車や通信機器メーカーにおける生産停止などの影響を受けているが、今後はIoT機器などの需要拡大に期待する。
フォトレジストは、g線/i線用やKrF/ArF用、EUV用が調査対象である。特に、EUVレジストの市場拡大を見込む。市場規模は2019年の14億8000万米ドルに対し、2024年は23億7000万米ドルと予測した。
CMPスリラー市場は2019年の11億5000万米ドルに対し、2024年は15億8000万米ドルとなる。ロジックではFinFETやSAGC(自己整合ゲートコンタクト)などの微細化、メモリでは3D NANDフラッシュメモリの高層化などが進み、デバイス当たりの使用量が増加する。
炭化フッ素系ガス市場は、2019年の5億3000万米ドルに対し、2024年は7億3000万米ドルと予測した。CF4(四フッ化炭素)、c-C4F8(八フッ化シクロブタン)、C4F6(六フッ化ブタジエン)、CHF3(三フッ化メタン)、CH3F(フッ化メチル)が対象である。中でも、高アスペクト比のエッチングに対応するC4F6とCH3Fは、今後の需要増加が期待される。
パッケージ基板材料市場は、2019年の8億8000万米ドルに対し、2024年は11億1000万米ドルと予測した。スマートフォンの高機能化やサーバ向け基板の大型化などが需要をけん引するとみられている。
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