Wi-Fi 6のSEP候補、QualcommとHuaweiの存在が際立つ:NGBがレポートを発表
NGB(日本技術貿易)は2020年9月24日、Wi-Fiの最新規格であるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)の標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)候補に関する調査を行ったレポートを発表した。
Wi-Fi 6の標準必須特許の候補を調査
NGB(日本技術貿易)は2020年9月24日、Wi-Fiの最新規格であるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)の標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)候補に関する調査を行ったレポートを発表した。
Wi-Fi 6の規格策定はIEEEが進めているが、NGBによれば、「IEEEでは、どの企業のどの特許がSEPなのかといった評価は行っていないため、実際にどのような特許がSEPとして存在するかを把握するのは一般的には難しい」という。
NGBは、Wi-Fi 6の規格策定活動において標準化寄書の投稿数が多い企業(つまり、貢献度が高い企業)に注目。これらの企業のWi-Fi 6技術に関連する特許情報を収集して、1件1件、規格文書と比較する目視調査を実施した。これにより、Wi-Fi 6関連のSEP候補となる特許ファミリー(以下、Wi-Fi 6 SEPファミリー)の現状が明らかになったとNGBは述べている。
NGBの調査の結果、Wi-Fi 6 SEPファミリーの数は、Qualcommが115件でトップ、2位は113件のHuaweiとなった。100件を超えるWi-Fi 6 SEPファミリーを保有しているのはこの2社のみで、以下、3位にIntel、4位にLG Electronics(以下、LG)が続く。NGBは「QualcommとHuaweiがWi-Fi 6規格策定において多くの寄書投稿を行っていることに関係していると考えられる」と分析している。
NGBは、PHY(物理層)、MAC(メディアアクセス制御層)それぞれについても、Wi-Fi 6 SEPファミリー保有数を調査した。PHYではHuaweiが、MACがQualcommがトップとなっており、やはりこの2社の貢献度が高いことが分かる。PHYではHuaweiに続きIntelとLGが、MACではQualcommに続きHuaweiとIntelがランクインし、全体にHuaweiの貢献度の高さが目立つ。
さらに、NGBが、OFDMA(直交周波数分割多重方式)やMU-MIMO(Multi User MIMO)といった主要な技術要素ごとにWi-Fi 6 SEPファミリーを調査したところ、OFDMAに関するものが最も多かった。OFDMAは、直交する周波数軸と時間軸のチャンネルを分割してユーザーに割り振る変調方式だ(参考)。セルラーではLTEから採用されているが、Wi-Fi規格ではWi-Fi 6で初めて導入される。
NGBが作成したランキングによれば、OFDMA関連のWi-Fi 6 SEPファミリーを最も多く保有するのはHuaweiで、Qualcomm、Intelがそれに続いている。ここでもHuaweiがトップに立っている。
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