太陽光発電システム、FIT依存から自家消費型へ:富士経済が市場調査
自家消費型太陽光発電システムの国内市場は、2030年に6277億円となる。太陽電池の世界市場は2030年に4兆4580億円を見込む。富士経済が予測した。
中長期的には自家消費型が標準に
富士経済は2020年9月、太陽光発電システム(PVシステム)の国内市場と太陽電池の世界市場を調査し、その結果を発表した。これによると、自家消費型PVシステムの国内市場は2030年に6277億円と予測した。太陽電池の世界市場は2030年に4兆4580億円を見込む。調査は2020年4〜7月に実施した。
PVシステム市場は、2012年7月からのFIT(固定価格買い取り制度)などもあり、非住宅向けを中心に拡大したが、2015年度には市場がピークを迎えた。それ以降はユーザーが経済的メリットを感じにくくなったこともあり、市場の規模は縮小傾向にある。
こうした中で、住宅向けPVシステムの導入は、蓄電システムとのセット導入や住宅向けPPA(電力販売契約)モデルの活用など、自家消費型が増えつつあるという。長期的にはこうした導入形態が標準的になるとみている。非住宅向けでも自家消費型が注目されている。
今回の調査によると、2025年度以降は自家消費型がけん引力となってPVシステム市場が再び拡大すると予測した。2030年度には、自家消費型PVシステムの国内市場を6277億円と予測した。このうち1571億円は、サービス業者がPVシステムを設置して発電電力を提供したり、PVシステムを定額でリースしたりする第三者所有モデルだという。
新たな領域で次世代型太陽電池の需要に期待
太陽電池の世界市場は、各国が脱炭素化に向けた取り組みを強化してきたことや、導入コストの低下などがあり、出力ベースでは10年以上も拡大を続けている。金額ベースでは、企業間競争の激化や新型コロナの影響などから価格が下落し、市場は今後も伸び悩む見通しだ。
製品としては主流の結晶シリコン系で、変換効率に優れたPERCタイプの単結晶シリコンなどに注目が集まる。また、色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池、ペロブスカイト太陽電池といった次世代型太陽電池が、IoT(モノのインターネット)電源など新たな用途向けに注目されており、中長期的に金額ベースでの伸びが期待されている。調査によれば、市場規模は2019年(1〜12月)の3兆9768億円に対し、2030年は4兆4580億円と予測した。
太陽電池の国内市場は2019年度(4〜3月)の3059億円に対し、2030年度は1453億円と半減する予測だ。長期的に住宅のPVシステム搭載率は上昇するが、金額ベースで大幅に縮小する。非住宅向けは、FIT認定を受けた未稼働案件が整理され、2021年度以降は市場が落ち込むと予想した。
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